大陸文化を日本に伝える際の飛び石の役を果たしていた長崎県対馬。今、大陸文化ならぬ、密漁に使った漁具が海岸に押し寄せている。原元美紀リポーターが現地を取材した。
風光明媚な対馬の海岸。今、いたるところに漂着した網目状の黒いプラスチックの筒が散乱している。
韓国の漁師がアナゴ漁で使う「アナゴ筒」と呼ばれる韓国製漁具で、日本の排他的経済水域で密漁する際に使われ、対馬をはじめ近隣漁業に大きなダメージを与えているという。
この周辺水域は、両国の漁場は決まっている。しかし、最近は韓国側の漁場が乱獲のために魚がいなくなり、日本側の漁場に入り込んで、魚を漁る密猟が横行しているのだ。
アナゴ筒で密漁するのもその一つ。このアナゴ筒が岩に引っ掛かるなどで外れてしまい、放置したまま逃げるのだという。海中に浮遊したアナゴ筒に魚が入ると死んでしまう。
日本の漁船が漁を行うと、網に入ってくるのはこのアナゴ筒。筒の中は魚の死骸で、漁師の間では『幽霊漁業』と呼ばれている。
そこで番組では、韓国のアナゴ漁師を直撃した。それによると、韓国ではいまだに、1隻で1万から1万5000個のアナゴ筒を仕掛ける大規模な漁を行っているという。規制されている日本の約10倍だ。
漁師の一人は「漁で筒がなくなるのは1割ぐらい。蓋と筒で1000ウオン(100円)だから1割なくなってもアナゴさえ捕れれば儲けは出る」と悪びれる様子はない。
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