米プロバスケットボールのスター選手で、今シーズンのMVP有力候補でもあるコービー・ブライアントの「危険行為」が物議をかもしている。といっても、彼はバスケの試合でもよく見られる動作をしただけなのだが、その状況が少し特殊だった。高速で向かってくるスポーツカーを垂直跳びでやり過ごしたのだ。
問題の動画は2008年4月8日にオフィシャルサイトで公開され、10日にはYouTube(ユーチューブ)に投稿されると、1週間たらずの間に再生180万回、コメント5000件以上を記録している。
さて、映像はブライアント自身がビデオカメラのスイッチを入れてはじまり、カメラは固定されている。まるで本人の伊達や酔狂で撮影したような体裁だ。
ブライアントが手にした靴をカメラに近づける。それはブライアントがナイキ社と共同開発した夢の超ハイテク軽量バスケットシューズ「Hyperdunk(ハイパーダンク)」である。ブライアントはその靴を履くと、チームメイトも忠告も聞かずに「ショウ」(本人談)をはじめる。
周囲の映像などから判断すると、場所はビルの屋上の駐車場らしきところ。ブライアントは画面に対して横向きになり、腰をかがめて何かを待ち受ける。手で合図すると、エンジン音が聞こえ、ほどなく猛スピードのアストンマーチンがブライアントの正面に現れる。ぶつかる!というその瞬間、真上に飛ぶと、車はその下を通過していった――。
これは本物、はたまた合成映像!? 車はブライアントの正面ではなく脇を通過したのでは!? 危険なジャンプの真偽が話題の的だが、この動画を誰がなんの目的で「撮らせた」のかがわかりづらいのも、混乱に拍車をかけている一因だ。
米ABCテレビがナイキに調査したところでは、「ハイパーダンクのネット専用プロモーション(動画)」だと認めたという。しかし、動画にはそうした説明や、ナイキのロゴ、商品説明などはない。ブライアントやチームメイトも迫真の演技である。
撮影は「出演者に危険のない方法」で行われたとのこと。ブライアント本人も出演したテレビ番組で「ハリウッド的手法が使われた」と話したらしい。おそらく合成映像なのだろうが、撮影は安全だったとしても、プロモーション手法として少し危なっかしい印象を受ける動画である。