不思議な味わいのドラマだ。登場人物は、主人公の小川(玉木宏)を始めとして、みんなユル~く、どこかピントがずれている。そして、たがいに噛み合っていない。喋るときも、相手の顔を見ず、横並びで自分の言いたいことを言うシーンが多い。そんな演出も独特の雰囲気を作っているようだ。
玉木宏は「のだめカンタービレ」の千秋役とは打って変わり、教授には見放されるわ、女には振られるわ、生徒にはバカにされるわ、の情けない女子校教師。「のだめ」ではタメ息の出るような美形だったのに、こうなると鹿顔のマヌケ面に見えてくるから不思議。これが演技力というものか。
小川や同僚教師の藤原(綾瀬はるか)、福原(佐々木蔵之介)が下宿している民家がいいね。伝統的な町家造り。朝の賄い付きだが、女家主(鷲尾真知子)が階下で飲み屋もやっているので、夜もそこで飲んでいる。関西の古都にはこんなところもあるんでしょうね。楽しそう!
でも、こんな日向ぼっこのような日常の陰では大変な事態が! ここからが突拍子もない設定の面白さなのだが、地下のナマズが暴れ出し、日本が壊滅の危機に瀕しているという。鹿島明神がナマズの頭を押さえ、奈良の鹿と大阪の鼠と京都の狐が三方を押さえていたのだが、神無月に鹿島明神が出雲に出かけた隙に暴れ出したのだ。
人間どもがノホホンとしているうちに、鹿は日本を憂え、小川を使い番として何とかこの事態を食い止めようとする。小川がドジをすると、「使えない奴!」と怒って、小川の顔を鹿に変えてしまう。他人が見ると普通に見えるのだが、鏡に映った自分の顔がいつも鹿というのは想像するだにイヤだ。
動物が人間を使い番にして日本を救おうとするというのは笑っちゃう話かもしれない。でも考えてみれば、日本列島に人間よりはるか昔から住んでいたのは彼らなのだから、彼らの方が天変地異に対する危機感が強くても当然!?
阪神大震災以来、地震が多くなったと感じるのは気のせいか。
悠長に構えてる場合じゃない。みんな、鹿島明神とお稲荷さんにお参りに行こう!