1999年に割りばしがのどに刺さり死亡した杉野隼三ちゃん(当時4)。民事訴訟の判決で、医師の過失は認めた刑事判決(無罪)とはまったく逆の「医師に過失はない」との判断が示された。
この事件は、医師の業務上過失致死罪が問われ刑事裁判にもなっている。2006年の東京地裁判決では「事故を予見し、結果を回避する義務を怠った」と、医師の過失を認めながら「命が助かる可能性は低かった」と無罪判決が示された。検察側が控訴中。
民事では隼三ちゃんの両親が、杏林大医学部付属病院と担当医師(39)に8960万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしていた。
きのう(2月12日)の判決では「当時の医療レベルでは(頭蓋骨内の損傷を)予見できなかった」と、医師の過失を認めた刑事判決とは逆の判断を示した上で、請求を棄却する判決を示した。
小倉は「割りばしの長さって、今も昔も変わらない。その寸法からいって、ヒョッとしたらと考えそうなものですがね」。さらに「医療の現場は、最悪のケースを想定しなければいけないんじゃないですか」と訴えた。
小倉が指摘する通り、法律そのもの、法律に基づいて判断する裁判官も、時代共通の『社会通念』を無視した判断はできないと思うのだが、医療現場は別世界というのか?
隼三ちゃんの兄、雄一さん(20)は「この9年間を否定され、ゼロに戻った判決で悔しい。生前の隼三が『悪と闘う』みたいなことを言ったのが最後に聞いた言葉。隼三ができなかったことを頑張りたい」と、法律家を志しているという。両親は控訴する考え。