エレキ君
テレビの視聴率を脅かすひとつが番組のネット配信。NHKは08年度中に過去の番組をネット上で配信する有料サービス(アーカイブ・オン・デマンド)を始める。民放・新聞はずっと反対してきたが、いまやだんまり。どうしたのか。
テレビ君
このサービスは過去のドラマやドキュメンタリーなどの名作を視聴できる「アーカイブサービス」と、見逃した番組を放送から1週間程度の期間、視聴できる「見逃しサービス」の2本立て。かなりきめ細かいサービスになる。
アドバ君
放送法改正で番組のネット配信が可能になったのを受けて実施する。NHKにとって受信料とは別の新たな安定財源を確保するのがねらい。NHKの埼玉・川口のアーカイブスには40万本以上の番組があり、ネット配信事業には困らない。
プレス君
NHKは「NHKの受信料収入は08年度は6350億円、これに対してネット配信の売上げはせいぜい100億円程度。新たな安定財源といわれるものではない」ととぼけるが、「時代の先取り。民放は黙って見ているだけでいいの」が本音。
テレビ君
民放はどこも及び腰。理由は(1)番組のネット送信は著作権処理が難しい (2)本来のテレビの視聴率が低下し、CM(広告収入)に影響する―の2つ。しかし、著作権処理はNHKは難儀しながらやっているし、ネット送信の許諾をとった番組は増えている。東京MXテレビがユーチューブで番組配信するのが目立つ程度。
アドバ君
さる民放幹部は「ネット配信すればテレビの視聴率は下がるし、CM収入もダウンする。NHKはCMがないから(ネット配信が)できるんだ」と語っていた。民放の本音は、スポンサーがネットのほうに流れることにあるようだ。
テレビ君
このままでは、番組ネット配信はNHKの1人勝ちになってしまう。ネット配信には家電メーカーも関心を寄せている。松下電器はユーチューブと組んでネット接続しやすいテレビを米国で販売する。これが日本で発売されたらどうなるか。
エレキ君
松下、ソニーなどメーカー5社はネットテレビ会社「アクトビラ」を作り、昨2007年11月から有料の動画提供サービスを実施。対応テレビは現在20万台だが、地デジの始まる11年には数千万台にする。テレビ局との蜜月もいつまで続くか。
プレス君
民放はネット配信が日本で普及するのは数年後とみている。しかし、アクトビラやNHKのアーカイブ・オン・デマンドをみてもわかるように、すでに黒船は上陸した。何度でも言う。「テレビの画面はテレビ番組だけのものでなくなった。民放テレビ局は感度が鈍い」