志布志事件や富山の婦女暴行えん罪など、警察の捜査・取り調べに対する不信が高まるなか、警察庁が指針を出した。「してはならないこと」が列挙されている。ということは、やっていたということ。
・ 容疑者の身体を触る
・ 暴力を振るったり机をたたいたりして威嚇する
・ 不安・困惑させるような言動
・ 一定の動作や姿勢を強要する
・ 便宜を与えたり、約束したりする
・ 尊厳を著しく害する言動
・ 上司の承認なしでの長時間・深夜の取り調べ
これを志布志事件(2003年鹿児島県議選選挙違反でっちあげ)での取り調べにあてはめると、
・長時間:平均550時間、最大740時間の取り調べ
・威嚇:机をたたいて「立て」。身体もたたいた。
・不安・困惑:「死刑にしてやる」「ピストルで撃つ」など
・同じ姿勢:毎日12時間。頸椎を傷めて入院
・ 尊厳:家族の名前を書いた紙を「踏み字」
この事件を調べた大谷昭宏は「こんな指針作ったって、何の意味もない」という。「日弁連がいうように、また民主党も法案を出すが、取り調べの一部始終をDVDに撮ればいいじゃないか。なぜそれができないか」
木場弘子は「監視するのも、警察官でしょう」
警察庁は、取調室にマジックミラーをつけるとしている。が、大谷は、「そんなことしても、身内なんだから、『お前なんでうろうろするんだ』『見ていたことにしろ』ということになる」という。
「踏み字」をさせられた川畑幸夫さんも、「マジックミラーつけたって、身内が見ているんじゃダメ」といっている。
大谷は「現場検証なんかで自宅へ連れられていって、『早くいわないと娘に見られるぞ』とやられて、ウソの供述している。そっちの方が恐い」という。
志布志事件の取り調べでは、自殺未遂が3人、意識不明で病院に運ばれた人が5人も出ている。
大谷はさらに、「 良心的な捜査員は、やりたくないから捜査からはずしてくれ、とまでいってる。また、一線の警察官は、こうしたことで裁判に引っぱり出されるくらいなら、全部撮ってくれ、といってもいる。わかってないのは霞ヶ関だけ。一戦の警察官の声になぜ警察庁は答えないのか」と声を強めた。
この事件で、「踏み字」の強要などで特別公務員暴行陵虐罪に問われた、鹿児島県警の元警部補、濱田隆広被告にきのう(1月24日)、懲役10月が求刑されている。
なかった事件をでっちあげても、10カ月? この意味をよく考えてみよう。