渋谷を仕切る若者たち「ギルティ」の6人。ブラピの「ファイトクラブ」みたいに腕自慢少年に喧嘩をやらせて賭けるパーティーを開いては金儲けをしている。ひょんなことから手にした大金が、暴力団や泥棒たちとトラブルとなるピカレスク(悪漢が主人公)映画。邦画が愛だのロマンスだの不治の病だのにうつつを抜かしている時に、こんなスカッとしたピカレスクは悪くない。
(c)2007「ヒート アイランド」製作委員会
原作は垣根涼介のストーリーテリングの技に乗せられてアッと言う間に読み終わる同名の小説。主人公アキの小説はこの後も続くが、アキとプロフェッショナルの知能犯強盗・柿沢の出会いと、会った瞬間に相手を気に入る男同士のケミストリーは心地良い。
喧嘩が滅法強いアキ(城田優)と腕っ節は弱いが頭が切れるカオル(木村了)は、ストリート・ギャングのボス4人を部下にして6人で「ギルティ」を構成している。部下の一人ナオを原作の男性からファッションモデルの女性(北川景子)にしているが、映画のための花だけであまり意味が無い。
ある日、ギルティのメンバー、金髪のタケシ(浦田直也)とデブのサトル(鈴木昌平)の二人は、バーで飲んでいた折田(松尾スズキ)と喧嘩になり彼のバッグを奪う。渋谷の地下カジノから折田と仲間が強奪した金で、折田の取り分の3200万円が入っていた。アキとカオルはこの胡散臭い金の裏に大きな揉め事があると見抜く。案の定、折田の仲間、柿沢(伊原剛志)たちが動き出し、さらに、カジノから金を奪われた松谷組と地元を仕切る麻川組も乗り出すことに。
アキとカオルはこの三者を戦わせて三者とも全滅させようという作戦に出るが、ここで最高に面白い戦略を練る。果たして全員互いに撃ち合って殲滅するのか、それともアキのプランに綻びがあって誰かが生き残るのか?
未成年のストリート・ギャング対大人の暴力団や強盗。知能強盗、柿沢たちの狙う金は、政治家の裏金や暴力団があくどいシノギであげた大金だけ。警察に届けられる心配は無いし、奪っても良心が痛まない。伊原剛志はクールにスマートに、強盗団のボスを演じている。アキの城田優は「ワルボロ」などに顔を見せるこれからの若手俳優。監督はこれが映画デビューのTV出身、片山修。原作のストーリー展開の面白さで、無難に演出をこなしている。
2007年日本映画、ザナドゥ配給、1時間46分
監督:片山修
出演:城田優 / 木村了 / 伊原剛志
公式サイト:http://heatisland.jp/index_pc.html