ボクシングのみならず、この世の栄光をつかんだといわんばかりだった亀田家ストーリー。その崩壊のドラマは日替わりで続く。
この日の朝ズバッ!のメニューは当然のように「亀田父子、初めて公の場に」――試合にも反則バッシングにも打ちひしがれた挑戦者のうつろなまなざし。
――他のマスコミと同じトーンで、記者会見の模様を詳しく報じた。
「日焼けした角刈りの威圧感のある」(みのもんた)パパ亀田は反則行為の指示を明確に否定した。この会見模様を番組はそのままさらりと放映した。付け加えることはなかった。
試合を中継したのはTBSだ。セコンドについている亀田陣営の音声のほとんどを収録している。
「タマ打ってまえ」・・・確かにテレビ画面ではそういっていた。これが否定されたのだ。
ということはTBSのアレはウソだったのか、ということになる。証拠の持ち主であるTBSが、なぜ反証しないのか。「明らかにこのようにいってますよ」。問題シーンをなぜ流さないのか。
編集の不備といわれればそれまでだが、意図的に反証しなかったのではないかという疑問を感じる。なぜなら、TBSと亀田家は運命共同体のようにここまで大衆人気をあおってきた。当事者なのに他人事のような態度で扱っている。
前代未聞の反則試合に責任はないとはいわせない。
「勝てば官軍といいますが、いったん敗者になるとこんな逆風が吹くことはオトナならわかっているはずなのに・・・」蔦信彦発言は “オトナの責任”と やんわり口調。
与良正男・毎日新聞論説委員は、TBSの“身内”にもかかわらず率直だった。
「反省すべきは親子ですが、(ボクシング)協会、TBSも含めて冷静に反省すべきだ。スポーツの原点は、演出しなくても心がゆさぶられるものでしょう」
朝ズバッ!の一連の亀田モノで、こんなコメントは始めてだった。やっと出たというべきか、遅すぎるというべきか。