ボクシングの世界戦は、かっては国民的関心事だった。テレビというリングサイド席は熱気であふれていた。
いまは単なるスポーツ・イベントのひとつになった。それも民放テレビの1局だけが盛り上がる。朝ズバッ!も張り切って「いよいよ今夜です」・・・
今夜ゴングとなるのはTBS系列で放送されるWBCフライ級タイトルマッチ。33歳王者の内藤大助vs18歳挑戦者の亀田大毅戦。
「10日に行われた体重測定から、両者は目を合わせることなく・・・会見では浪速の弁慶から『切腹』というなんともな言葉が飛び交いました」(みのもんた)
挑戦者はキンキラキンの悪ガキ風だ。王者は「月収12万円」のハングリー生活からやっとのことで栄光の座をつかんだ。妻と3人の男児がいる。地道に家族愛を背負ってリングに立つ内藤は「国民のために勝つ」――
キンキラキンの悪ガキ風挑戦者に対する率直な思いだったはず。これを亀田は挑発と受け止めた。
両者そろっての会見で亀田は「国民の期待に応えたれよ。しっかりな」と逆挑発してから言い放った。
「おれのパンチは宇宙一や。負けたら切腹するよ」
「本当にやんの? なにで切腹すんの?おれはしないよ」(内藤)
「思いが違うねん。そのベルト死ぬ気で奪いにいくわ。根性ゼロや」(亀田)
33歳と18歳の舌戦対決は、テレビ的には大いに見栄えがあった。前宣伝では亀田大毅は“キャラ・パンチ”で圧勝した。
「切腹ですって。死ぬ気でやるってことでしょうが、まぁ!ですね」(高木美也子)
みのは苦笑しながら「国民の敵には宇宙一のパンチがあるってことになりますか?」・・・