「盗人ですよ。泥棒したやつがヌケヌケと役所で仕事についていていいんですか?」。昨日(9月4日)、あいまいな処理のまま放置されてきた年金横領事件で舛添厚労相が吠えた。このままでは国の機関が社会保険盗人庁、「社盗庁」だ。
『スパモニ』は、「年金横領のあきれた実態」を取り上げた。
社保庁職員による横領50件、総額1億4197万円、このうち1000万円超の横領が3件。市区町村職員による国民年金の横領49件、総額2億77万円、1000万円超の横領は4件という。
その手口は?東京・文京区のケースは、職員が集金し、レジに収めておいた年金を抜き取る単純な盗み。諭旨免職で、刑事告発は見送っている。
悪質なのは、書類の偽造。支払い済みを「支払い免除」に偽造し、年金を着服していた。また、納付日を1年後に改ざんし年金を着服、期限がくるとまた改ざんする自転車操業型もあった。
そこで市区町村職員の「処分状況」をみると、「懲戒免職」27件、「停職」6件(その後復職を含む)、「減給」3件、「自主退職」11件、「不明」2件。「刑事告発」の有無は、「しない」34件、「不明」8件、「刑事告発した」7件、と処理方法があいまい、統一性がなかった。
ジャーナリストの鳥越俊太郎は「なぜこんなにあるの? ボクは年金の支払いと給付の間のずれで、どうせ分からないとタカをくくって着服していたと思う」。
舛添厚労相は「今からでも告発は辞さない」と、再調査を指示したが、時効(刑事7年、民事10年)との絡みも出てくる。弁護士の石丸幸人は「ウミを出すために徹底して調査し、判断は司法に任せればいい。時効が効かないケースもありますから」。
番組最後に千葉・船橋のスーパーで缶ビール2本を万引きしようとした男を店長が殴る蹴るの暴行をはたらき、死なせたニュースが飛び込んだ。役人が何百万円もの年金を着服しそのまま職場で働いている姿は、缶ビール2本を万引きして殺される姿とあまりにも対象的だ。