奈良・橿原市で深夜に急激な腹痛を訴えた妊娠中の女性(36)が、救急車を呼んだ。救急車は8分後に到着したが、搬送先探しでなんと9つの病院に断られたあげく、40キロも離れた大阪の病院に向かったが、途中女性は破水し、3時間2分後病院に入ったときには、女性はすでに流産していた。
レポーターの大村正樹が「3時間2分は、新幹線ののぞみなら、東京から岡山へ行ける時間」といった。奈良では昨夏にも分娩中の32歳の女性が緊急事態になったが、19もの病院に断られたあげく、亡くなっている。なぜまた、奈良なのか?
女性が倒れたのは、スーパー駐車場だった。通報は午前2時44分、救急車はすぐに到着した。問題なのは、ここからである。
救急車は「情報システム」から奈良県立医大付属病院を検索、ところが「1分前に妊婦が搬送されたからだめです」。そこで救急隊員は奈良をあきらめたのか、大阪の病院に次々打診、9病院に断られたあと、高槻市の病院のOKを取った。
ここまでが1時間半。報道では「たらい回し」というが、救急車はスーパーの駐車場に止まったままだった。この間、奈良の救命センターにも連絡したが、「治療の対象ではない」。あるいは、1時間半後にはもう県立医大の手術は終わっていたかも――あきらめのいい救急隊員でもあったようだ。
医療ジャーナリストの伊藤隼也氏は電話で「この件は県立医大に問題がある。でも奈良は2度目でしょう。何とかしてやろうという人間がトップに立っていない。救急隊員にも(医療機関に)遠慮があるし、システムも理解していない・・・」。小倉が「だからすぐ大阪になるわけか」。「そう。でもアフリカの奥地じゃないんだから・・・」と伊藤はいう。
眞鍋かをりは「救急車に乗ってもまだ安心できないとなると、何を信用していいのか」。
産婦人科の不備、医師、看護婦、助産師不足、訴訟を怖がって敬遠気味の気分・・・それもあるだろう。だが、手段についてはまだ頭をめぐらす余地はあったような・・・
手術が本当に行われていたのか。もう終わっただろうとは考えなかったのか。「新聞だねになりますよ」と一言いう、あるいはもっと大騒ぎをするとか。詰まるところは、現場の意識か――。