また出産をめぐり病院タライ回しの悲劇が繰り返された。11病院に拒否されたあげくに、救急車が不運にも交通事故に遭遇、流産した悲劇を取り上げた。「救急体制に不備はなかったのでしょうかね?」(赤江珠緒キャスター)。
報道によると、橿原市の消防の問い合わせに対し「処理中」「満員」との理由で、11の病院が受け入れを「拒否」した。
しかし中には、最初に問い合わせを受けた奈良県立医大病院のように、産婦人科には空きベッドあった、というケースもあった。さらに一般救急を原則受け入れていない高度医療を行う大阪府立母子保健総合医療センターも空き病床があったのに「拒否」した。
それぞれ拒否の理由を挙げるのだが、いずれも欠けているのは、病院、医師ほんらい自覚すべき、命にかかわる患者への基本的な責任。とくに呆れたのは、深夜にかけずり回って病院探しをしている「救急患者」に「一般救急は受け入れていない」という大阪府立母子保健総合医療センターの紋切り型の対応だ。
鳥越俊太郎は「小児科、産科はなり手がない。地方に行くほど医師が少ない状態が全国で起きている。また産科は安産で産まれればハッピーだが、トラブルが起きると地獄。医療過誤で民事訴訟になる」と。
確かに医者も人の子だ。昨今の「市場経済主義」「勝ち組志向」を煽った小泉政権時代の弊害が残り、需要があって儲かる大都市へ、深夜作業のない楽な分野へと医師が集中するのもわかる。
が、救急医療に同じ熱意を持っているハズの「救急現場」と「医療現場」の間でこうも意思疎通がないのでは医療は成り立たない。