先週の日本映画ベスト10に続き、今年の1-6月に見た外国映画161本の中からベスト10を挙げる。
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1位 | バベル(米) |
2位 | ディパーテッド(米) |
3位 | ダイ・ハード4.0(米) |
4位 | 善き人のためのソナタ(独) |
5位 | 不都合な真実(米) |
6位 | 300 スリーハンドレッド(米) |
7位 | ボルベール〈帰郷〉(西) |
8位 | 傷だらけの男たち(香) |
9位 | 星なき夜に(伊) |
10位 | ドレスデン、運命の日(独) |
1位は、モロッコの山間で羊飼いの少年が放った一発の銃弾が日本、アメリカ、メキシコに影響を及ぼす群像劇「バベル」。米アカデミーのアメリカ人会員は、外国勢がアカデミー賞を独占することを恐れて「ディパーテッド」を推したが、質的にはメキシコ出身のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥがナンバー1だろう。「ディパーテッド」は香港映画「インファナル・アフェア」のリメイクだが、換骨奪胎したアイリッシュ・ギャングとアイリッシュ警察官との葛藤は見応えがあり、マーティン・スコセッシ監督に遅すぎた春をもたらした。
娯楽作品として掛け値なしで楽しませてくれた「ダイ・ハード4.0」が3位。パトカーでヘリを撃ち落すなんて誰が考え付くか? 東独時代の秘密警察の将校が文化人の盗聴をする「善き人のためのソナタ」の最後は泣けて仕方がなかった。欧州でドイツ映画は頭一つ抜けて優れている。5位は「不都合な真実」。アル・ゴア元副大統領がコメンテイターで地球の温暖化防止を訴えるドキュメンタリーは迫力があり、危機感がひしひしと伝わって来る。「300 スリーハンドレッド」はフランク・ミラーのグラフィック・ノベルの映画化。ギリシャ・スパルタの精鋭300人が100万人のペルシャ軍を食い止めようとする男たちのドラマは美しかった。
7位の「ボルベール〈帰郷〉」は、スペインの生んだ名花ペネロペ・クルスがハリウッドから里帰りして、巨匠ペドロ・アルモドバル監督のコメディを生き生きと演じる。「傷だらけの男たち」は「インファナル・アフェア」の香港スタッフが再び贈る警察物で、ストーリーの奥が深い。「星なき夜に」は5月のイタリア映画祭で上映された佳作。一般公開はいつになるか分からないが、溶鉱炉のイタリア人技師が不良品を中国に売ってしまった会社の責任を一人で背負って、中国本土の工場を訪ね歩く物語だ。経済発展の裏の中国の現状をえぐり出している。努力を無為にするオチが何とも言えず哀しい。 そして10位「ドレスデン、運命の日」は再びドイツ映画。第二次大戦末期、連合軍の空襲で廃墟と化す"ドイツで一番美しい都"ドレスデン。空襲下の命を掛けたドラマが迫力ある映像で繰り広げられる。
ここに挙げた映画は邦画同様に秀作ぞろい。今年の上半期、みなさんのベスト映画はなんだろうか?