世界三大バレエ団のひとつ、英国ロイヤル・バレエ団。王立で、名誉総裁はチャールズ皇太子とくると、バレエに全く無知な私でもその素晴らしさが理解できる。今回の『プロフェッショナル 仕事の流儀』ゲストは、そこでゲスト・プリンシパル(最高位ダンサー)をつとめるバレリーナ・吉田都。
吉田は1984年に最初のバレエ団に入団し、以来様々な舞台で活躍を続けている。
「舞台が終わった後、余韻にふけるんですか? それとも反省ですか?」との質問に、彼女は「もちろん終わった後は達成感というか、ほっとした気持ちがあります。けど・・・」と言って続けた。
「その日の夜に、必ず全幕、一幕の最初から最後まで、頭の中で『あそこはああだったな』ってステップ一つずつ通しますね。足の動きが良くなかったな、とか、体の向きの角度とか、反省します」
そして「百点満点の演技? そんなの今までにないですよ」と笑った。自分の才能に自惚れない姿勢が素敵だ。
驚いたのは吉田の年齢だ。現在41歳。バレエ団で活躍するバレリーナは、その多くが20代。30代になると引退するのがパターン。しかし吉田はいまでもたくさんの舞台で活躍している。日々の過酷な修練があってこそなのだろうが、やはり驚きを隠せない。
多くの若いダンサーが彼女の地位を狙っていることだろう。にもかかわらず、今なお輝き続けることができるのは、彼女がプロとして誇りを持っているからなのではないだろうか。
現場の第一線で活躍していても、いずれは引退しなければならない。しかし世間で一般的に言われている「引退年齢」を過ぎても、さらに輝きを増していく人もいる。吉田のような生き方を知ったことで、長いであろうこの先の人生の、仕事に対するスタンスが変わった。