ロシアの民主化を主導したエリツィン前大統領が亡くなった。91年の保守派のクーデターを抑えたことで英雄になり、民主化で最初の大統領になった。だがソ連の解体で経済が悪化し、貧富の格差拡大などで国内での評価は良くない。健康にも問題だらけで、99年に引退した。
解説は寺谷弘壬・青山学院大名誉教授。小倉智昭が「日ロ関係で、エリツィンさんの及ぼした影響は大きかったのか」と聞いたが、「あんまりなかった。橋本龍太郎さんとも、サウナと魚釣りだけ」とにべもない。北方領土問題も進まなかった。
「プーチンになって若干後戻りともいわれるが」「エリツィンがプーチンを選んだといわれるが、実際はプーチンがエリツィンを解任した」。「ことを急激に進めすぎたのか」「自由化でマフィアが跋扈し、利益をもっていっちゃった。プーチンはいま、それを戻そうとしている。ロシアは振り子のように振れるんです」
エリツィンは、結局は共産主義体制で育った人。それが終生抜けきらなかった。プーチンも同じだ。その意味では、ペレストロイカのゴルバチョフの方がはるかに革新的なのだが、国内ではもはや顧みられない。現実は非情なものだと、つくづく思う。
文
ヤンヤン