大鵬薬品 次世代ADC創薬技術基盤を持つアラリス社を子会社化へ
記事配信日:
2025/03/17 17:00 提供元:共同通信PRワイヤー
2025年3月17日
大鵬薬品工業株式会社
Araris Biotech AG
大鵬薬品工業株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)と、スイスに拠点を置き、次世代の抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate、以下「ADC」)を開発するバイオテクノロジー企業Araris Biotech AG (本社:チューリッヒ州、CEO兼 共同創設者:Dragan Grabulovski、以下「アラリス社」)は、大鵬薬品がアラリス社を完全子会社化(以下「本買収」)することに合意し、契約を締結したことをお知らせします。本買収は、今後必要な手続きなどを経て、2025年前半に完了する予定です。大鵬薬品とアラリス社は2023年11月に開始した共同研究を経て、本買収に合意しました。
合意内容に基づき、大鵬薬品は買収完了時に4億米ドルを、また追加マイルストンとして最大7.4億米ドルを支払います。
アラリス社は、スイスのパウル・シェラー研究所からのスピンオフ企業であり、既存のADCが持つ課題を克服できる優れた設計、高溶解性リンカーとシンプルな製造プロセスを特徴とするベスト・イン・クラスのADC開発に先駆的に取り組んでいます。ADCは、がん細胞に特異的に結合する抗体に繋ぎ手(リンカー)を用いて細胞障害性薬物(ペイロード)を結合させ、がん部位選択的に殺細胞効果を発揮するよう設計されています。同社のアプローチの基盤となるのが、独自のADCリンカープラットフォームAraLinQ™です。このプラットフォームは、非常に均一で安定、かつ強い効力を持つADC候補を生み出し、基礎試験において既存のADCと比較して抗腫瘍効果の増強や広い安全域を確認しています。1,2
同社は血液および固形がんを対象に、独自のAraLinQ™技術を用いて創製した3つの製品の開発を進めています。これらの製品は現在前臨床段階にあり、2025年から2026年の間に臨床試験へと進む予定です。
大鵬薬品は代謝拮抗剤に加え、独自の低分子創薬基盤であるシステイノミクス創薬を確立し新薬を創出、がん治療の向上と患者さんへの貢献を進めてきました。今後はシステイノミクス創薬基盤に加え、アラリス社の革新的なADC創薬技術を獲得することで、がん領域での継続的な開発品ポートフォリオの拡充を進めます。
大鵬薬品 代表取締役社長の小林将之は「今回、アラリス社との契約を締結することができたことを、非常に嬉しく思います。AraLinQ™は次世代ADC創薬を可能にする革新的な技術です。今回、アラリス社のADC創薬における知識、経験と技術基盤、また開発パイプラインが加わることで、大鵬薬品の創薬力、またポートフォリオのさらなる拡充と強化につながると確信しています。今後はアラリス社と共に世界中の患者さんに貢献できる薬剤の創薬に尽力いたします」と述べています。
アラリス社の CEO 兼 共同創設者Dragan Grabulovski は、「毒性を減らし、異なる作用機序を持つ複数のペイロード(薬物)を正確かつ同時にがん細胞に届け得るアラリス社独自のADC技術は、ADC分野に飛躍的な進歩をもたらします。このたび、2023年11月から提携している大鵬薬品と一緒になることを誇りに思います。大鵬薬品のがん治療における豊富な専門知識は、私たちが持つADC候補の血液および固形がんにおける臨床開発を加速させてくれるでしょう」と述べています。
4BIO Capitalのマネージングパートナーでありアラリス社会長の Dima Kuzminは、「本買収は、アラリス社が市場で最も期待されるADC開発企業の一社であることの証明です。アラリス社との緊密な共同研究を経てアラリス社独自のAraLinQ™技術の可能性をよく理解している大鵬薬品は、この画期的な治療法を迅速に患者さんに届けることができる最適な立場にあります」と述べています。
本買収により、今後アラリス社は大鵬薬品の完全子会社として現在の拠点であるスイスのチューリッヒ州で事業と研究開発を継続する予定です。
【AraLinQ™ について】
AraLinQ™は、抗体のIgG-Fcフレームワーク内の特定の部位(Q295)に、ペイロードの部位特異的な結合を可能にするアラリス社のリンカー技術です。同部位にペイロードが結合した後も、抗体は未結合の時とほぼ同じ性能 (例:薬物動態やエフェクター機能)を維持します。さらに、リンカー-ペイロードは強固なペプチド結合を通じて抗体に結合するため、血中での優れた安定性を示し健常組織へのダメージを回避します。しかし、抗体介在のインターナリゼーションを通じてがん細胞に入ると、リンカーは容易に分解されペイロードを放出し、がん細胞を死滅させます。これら3つの特性は、最も効率的なペイロード送達とADCの効力最大化に重要な要素です。
AraLinQ™のリンカーは親水性であり、血液などの水性溶液に溶解します。溶解性の向上によって凝集が減り、抗体やペイロードの構造をさらに改変することなくADCをがん細胞に適切に結合できます。また、このリンカーはユニークな分岐構造を持たせることが可能であり、種類の異なるペイロードを複数搭載するADCの作成も可能です。加えて、AraLinQ™は従来型またはエンジニアリングされた「既製」の抗体を使用しワンステップでADCを生成することができます。このプロセスは迅速で費用効率が良く、特別な抗体合成を必要とせず簡単にスケールアップが可能です。
【大鵬薬品の概要 (https://www.taiho.co.jp/)】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M000396/202503175833/_prw_PT1fl_w9g4ZLyW.png】
【アラリス社の概要 (https://www.ararisbiotech.com)】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M000396/202503175833/_prw_PT2fl_352MQM7O.png】
【アドバイザーについて】
大鵬薬品においては、MTS Health Partners, LPが財務アドバイザーとして、Wilson Sonsini Goodrich & Rosati PCとHomburger AGが法律アドバイザーを務めています。アラリス社においては、Centerview Partners UK LLPが財務アドバイザーを、Cooley LLP と BGPartner Ltd が法務アドバイザーを務めています。
1. Attinger-Toller et al. Abstract 2910: A CD79b-targeting ADC with superior efficacy in preclinical models of non-Hodgkin lymphoma. Cancer Research. 2022;82(12 Supplement):2910. https://aacrjournals.org/cancerres/article/82/12_Supplement/2910/700373/Abstract-2910-A-CD79b-targeting-ADC-with-superior. アクセス日:2025年3月12日.
2. Attinger-Toller et al. Abstract LB124: Targeting NaPi2b with a novel dual-action ADC. Cancer Research. 2024;84(7 Supplement):LB124. https://aacrjournals.org/cancerres/article/84/7_Supplement/LB124/742173/Abstract-LB124-Targeting-NaPi2b-with-a-novel-dual. アクセス日:2025年3月12日.
大鵬薬品工業株式会社
Araris Biotech AG
大鵬薬品工業株式会社 (本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)と、スイスに拠点を置き、次世代の抗体薬物複合体(Antibody-drug conjugate、以下「ADC」)を開発するバイオテクノロジー企業Araris Biotech AG (本社:チューリッヒ州、CEO兼 共同創設者:Dragan Grabulovski、以下「アラリス社」)は、大鵬薬品がアラリス社を完全子会社化(以下「本買収」)することに合意し、契約を締結したことをお知らせします。本買収は、今後必要な手続きなどを経て、2025年前半に完了する予定です。大鵬薬品とアラリス社は2023年11月に開始した共同研究を経て、本買収に合意しました。
合意内容に基づき、大鵬薬品は買収完了時に4億米ドルを、また追加マイルストンとして最大7.4億米ドルを支払います。
アラリス社は、スイスのパウル・シェラー研究所からのスピンオフ企業であり、既存のADCが持つ課題を克服できる優れた設計、高溶解性リンカーとシンプルな製造プロセスを特徴とするベスト・イン・クラスのADC開発に先駆的に取り組んでいます。ADCは、がん細胞に特異的に結合する抗体に繋ぎ手(リンカー)を用いて細胞障害性薬物(ペイロード)を結合させ、がん部位選択的に殺細胞効果を発揮するよう設計されています。同社のアプローチの基盤となるのが、独自のADCリンカープラットフォームAraLinQ™です。このプラットフォームは、非常に均一で安定、かつ強い効力を持つADC候補を生み出し、基礎試験において既存のADCと比較して抗腫瘍効果の増強や広い安全域を確認しています。1,2
同社は血液および固形がんを対象に、独自のAraLinQ™技術を用いて創製した3つの製品の開発を進めています。これらの製品は現在前臨床段階にあり、2025年から2026年の間に臨床試験へと進む予定です。
大鵬薬品は代謝拮抗剤に加え、独自の低分子創薬基盤であるシステイノミクス創薬を確立し新薬を創出、がん治療の向上と患者さんへの貢献を進めてきました。今後はシステイノミクス創薬基盤に加え、アラリス社の革新的なADC創薬技術を獲得することで、がん領域での継続的な開発品ポートフォリオの拡充を進めます。
大鵬薬品 代表取締役社長の小林将之は「今回、アラリス社との契約を締結することができたことを、非常に嬉しく思います。AraLinQ™は次世代ADC創薬を可能にする革新的な技術です。今回、アラリス社のADC創薬における知識、経験と技術基盤、また開発パイプラインが加わることで、大鵬薬品の創薬力、またポートフォリオのさらなる拡充と強化につながると確信しています。今後はアラリス社と共に世界中の患者さんに貢献できる薬剤の創薬に尽力いたします」と述べています。
アラリス社の CEO 兼 共同創設者Dragan Grabulovski は、「毒性を減らし、異なる作用機序を持つ複数のペイロード(薬物)を正確かつ同時にがん細胞に届け得るアラリス社独自のADC技術は、ADC分野に飛躍的な進歩をもたらします。このたび、2023年11月から提携している大鵬薬品と一緒になることを誇りに思います。大鵬薬品のがん治療における豊富な専門知識は、私たちが持つADC候補の血液および固形がんにおける臨床開発を加速させてくれるでしょう」と述べています。
4BIO Capitalのマネージングパートナーでありアラリス社会長の Dima Kuzminは、「本買収は、アラリス社が市場で最も期待されるADC開発企業の一社であることの証明です。アラリス社との緊密な共同研究を経てアラリス社独自のAraLinQ™技術の可能性をよく理解している大鵬薬品は、この画期的な治療法を迅速に患者さんに届けることができる最適な立場にあります」と述べています。
本買収により、今後アラリス社は大鵬薬品の完全子会社として現在の拠点であるスイスのチューリッヒ州で事業と研究開発を継続する予定です。
【AraLinQ™ について】
AraLinQ™は、抗体のIgG-Fcフレームワーク内の特定の部位(Q295)に、ペイロードの部位特異的な結合を可能にするアラリス社のリンカー技術です。同部位にペイロードが結合した後も、抗体は未結合の時とほぼ同じ性能 (例:薬物動態やエフェクター機能)を維持します。さらに、リンカー-ペイロードは強固なペプチド結合を通じて抗体に結合するため、血中での優れた安定性を示し健常組織へのダメージを回避します。しかし、抗体介在のインターナリゼーションを通じてがん細胞に入ると、リンカーは容易に分解されペイロードを放出し、がん細胞を死滅させます。これら3つの特性は、最も効率的なペイロード送達とADCの効力最大化に重要な要素です。
AraLinQ™のリンカーは親水性であり、血液などの水性溶液に溶解します。溶解性の向上によって凝集が減り、抗体やペイロードの構造をさらに改変することなくADCをがん細胞に適切に結合できます。また、このリンカーはユニークな分岐構造を持たせることが可能であり、種類の異なるペイロードを複数搭載するADCの作成も可能です。加えて、AraLinQ™は従来型またはエンジニアリングされた「既製」の抗体を使用しワンステップでADCを生成することができます。このプロセスは迅速で費用効率が良く、特別な抗体合成を必要とせず簡単にスケールアップが可能です。
【大鵬薬品の概要 (https://www.taiho.co.jp/)】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M000396/202503175833/_prw_PT1fl_w9g4ZLyW.png】
【アラリス社の概要 (https://www.ararisbiotech.com)】
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M000396/202503175833/_prw_PT2fl_352MQM7O.png】
【アドバイザーについて】
大鵬薬品においては、MTS Health Partners, LPが財務アドバイザーとして、Wilson Sonsini Goodrich & Rosati PCとHomburger AGが法律アドバイザーを務めています。アラリス社においては、Centerview Partners UK LLPが財務アドバイザーを、Cooley LLP と BGPartner Ltd が法務アドバイザーを務めています。
1. Attinger-Toller et al. Abstract 2910: A CD79b-targeting ADC with superior efficacy in preclinical models of non-Hodgkin lymphoma. Cancer Research. 2022;82(12 Supplement):2910. https://aacrjournals.org/cancerres/article/82/12_Supplement/2910/700373/Abstract-2910-A-CD79b-targeting-ADC-with-superior. アクセス日:2025年3月12日.
2. Attinger-Toller et al. Abstract LB124: Targeting NaPi2b with a novel dual-action ADC. Cancer Research. 2024;84(7 Supplement):LB124. https://aacrjournals.org/cancerres/article/84/7_Supplement/LB124/742173/Abstract-LB124-Targeting-NaPi2b-with-a-novel-dual. アクセス日:2025年3月12日.
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