朝日新聞出版は2017年2月20日、写真専門誌「アサヒカメラ」2月号に掲載して反響を呼んだ「写真を無断使用する"泥棒"を追い込むための損害賠償&削除要請マニュアル」を、3月号でも再掲載したと発表した。
3月号は同日、発売開始された。
「行き過ぎた著作権意識は、写真文化の醸成を阻むことになりかねない」
インターネット上の「まとめサイト」で横行する著作権侵害の問題に真正面から切り込んだのが2月号の特集だった。
まとめサイトやSNSで写真を無断に使用された写真家が被害体験を赤裸々に明かした上、写真の削除を要請したり、損害賠償請求を起こしたりする文書の実例が弁護士監修の下で紹介された。
DeNAの医療情報サイト「WELQ」が科学的根拠の不明確な記事や無断転用の疑いを指摘されたことで、まとめサイトに世間の耳目が集まったのもあり、2月号が売り切れとなる大手の書店やインターネット書店は続出した。
同誌の佐々木広人編集長は3月号の編集後記で、
「今回あらためて感じたのは、著作権を侵害する『まとめサイト』への怒りの大きさです。特にライター、イラスト、漫画などの製作者の方々からも支持されたことは、ジャンルを問わず著作権が危機にあることの表れだと感じました」
と書いた。
「ただ、別の不安もあります。著作権が声高に叫ばれるあまり、畏縮ムードになり、本来触れられるはずの作品や論評までが共有できなく恐れがあるのです。行き過ぎた著作権意識は、かねて本誌で指摘してきた肖像権問題と同様、写真文化の醸成を阻むことになりかねません」
3月20日に発売される4月号からは、断続的に「写真と法律」の特集を展開していくという。