林京子さん

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「ノーベル賞にふさわしい作家」との評も 林京子さん死去86歳

   芥川賞作家の林京子(はやし・きょうこ、本名宮崎京子)さんが2017年2月19日、死去していたことが3月1日、分かった。86歳だった。

   各メディアが伝えた。自身の被爆体験をもとに「祭りの場」などを発表、長崎原爆の貴重な証言者として知られ、「8月9日の語り部」と呼ばれることもあった。

「原爆文学」で被爆体験を証言

   1930年、長崎市生まれ。父親の赴任先の上海で育った。45年に長崎に戻り、8月9日、学徒動員で働いていた工場で被爆した。

   75年、原爆投下後の長崎の人々の苦悩を描いた『祭りの場』で芥川賞を受賞。被爆体験を抑制された内奥の祈りとして語り、「長崎原爆」を証言する貴重な作品として高く評価された。その後、『上海』で女流文学賞、『三界の家』で川端康成文学賞、『やすらかに今はねむり給え』で谷崎潤一郎賞、『長い時間をかけた人間の経験』で野間文芸賞を受賞など、数々の文学賞を受賞している。

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