特定法人指定との関係は?
そこで提案がある。研究不正再発防止とは別に、対外的な発表責任を踏まえた「原因究明、対策、再発防止策」の3点セットを明らかにするというものである。企業が今回の理化学研究所と同様の発表をしたとしたら、企業のガバナンス(統治)責任が厳しく問われ、「なぜ、そのような発表になってしまったか」の検証がなされなければ世論が収まらないだろう。理化学研究所の対外発表には、国の威信がかかっているのだから、企業以上のガバナンスが求められる。ぜひとも、3点セットは対外的な発表責任、研究不正再発防止の2本立てとしていただきたい。
安倍内閣は現在、国の研究開発を予算面で優遇する「特定国立研究開発法人」(仮称)指定の判断を進めている。理化学研究所の指定が予定されていたが、今回の事案を受け先送りになっている。このため、今回の小保方氏へのねつ造判断は、幕引きを急いだとの見方も一部でなされている。研究不正再発防止に限定すれば、理化学研究所そのもののガバナンスと切り離せるという判断もあったのではないか。
理化学研究所は我が国の顔ともいえる研究機関である。その発表への信認が揺らげば、日本そのものがバカにされる。研究不正再発防止に矮小化せず、研究所のガバナンスそのものを見つめ直し、明らかにしてくれることを願う。(管野吉信)