2015年卒は「ゆとり世代ど真ん中」 知力、対人関係、ストレス耐性は大丈夫?

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   厚労省の調査によると、平成21年度卒の新入社員のうち入社3年以内に離職した割合は約3割。職種によっては5割近くにもなるという。離職理由は「仕事が自分に合わない」「人間関係がよくない」などが主だそうだ。

   いったん採用されたものの、入社前に辞退したり、入社直後に辞めてしまう若者も少なくないと聞く。そのような会社のニーズを汲んで、早期に退職しない人材を採用前に見極める新サービスも現れているようだ。

求職者の「打たれ強さ」を分析するサービスも登場

物心ついたときにはケータイもパソコンもあった世代
物心ついたときにはケータイもパソコンもあった世代

   アドバンテッジリスクマネジメント社は、求職者の適性検査をはじめとする「アドバンテッジ インサイト スムーススタート」というサービスの提供を2013年中に予定している。

   採用前に一般教養テストにあわせて、ストレスに耐え対応する能力を測る「ストレス耐性テスト」や、他人の気持ちを理解する能力を測る「EQ能力テスト」を実施。個人レポートの結果を採用者のスクリーニングや個別フォローに活かすという。

   テストやゲームに慣れた世代だと、巧みにウソをついて正体を隠せそうなものだが、同社によれば回答の傾向や整合性から「応答態度」も割り出せるので、ウソを見破ることもある程度可能なのだそうだ。

   同社の分析によれば、2015年卒の大学生はバブル末期の1991年生まれで、「ゆとり世代ど真ん中」の就活生。5歳のときに「ゆとり」を重視した学習指導要領が導入され、11歳で「学習内容3割削減」「完全週5日制」などが始まった。

   10代前半に、OECD学力到達度調査で日本の急激な点数低下が問題視されたのを受けて、10代後半に「ゆとり」教育は実質的な終焉を迎える。そんな時代を生き抜いた彼らには、知力とともに組織で働く上で必要なスキルが不足しているという懸念があるようだ。

   「新入社員の『打たれ強さ』を分析する新サービス」については、その必要性についておおむね賛同する声がネットにみられる。

「こういうサービスが出てくると会社と採用のミスマッチが減るかも」
「子供を取り巻く甘い環境を考えると、こういったサービスが必要なのも分かる。若年期の『甘やかし』は問題の先送りに過ぎない」

「ブラック企業ならすぐ辞めよう」という動きも

   求職者のストレス耐性を探る試みは、これまでも行われてきた。そのひとつが「圧迫面接」である。ビジネスの世界では、時には上司や顧客から厳しく叱責されることもあるが、それを想定して面接時にわざといじわるな質問をしたり、厳しい言葉を投げかけたりして相手がどう切り返すかを試すわけだ。

   だが、圧迫面接により対人恐怖症に陥る人もおり、年々増加する「就活うつ」のきっかけになっているという批判もあり、実施に慎重になる会社も増えた。

   2013年3月3日付のフジサンケイビジネスアイ電子版では、圧迫面接を乗り越えて内定を勝ち取ったものの「あんなひどい対応をされてまで行きたくない」と辞退者が出る可能性を指摘している。適性検査なら、こうした「誤解」は避けられるかもしれない。

   ただ、ストレス耐性が高いと判断された人に与えられる仕事を想像すると、点数が高ければいいというわけでもない気もする。「こいつは高得点者だから炎上案件に突っ込んでやれ」ということになりかねないからだ。

   インターネット掲示板には、2013年4月入社の新入社員で「すでに会社を辞めたい」という書き込みが並んでいる。

「人間関係が最悪過ぎる。会社行きたくない」
「こんな会社の為に地元離れたと思うとバカらしくて泣けてくる」
「ずる休みしたわ。陰口叩かれても知ったことじゃない」

   なかには「3か月で辞めた」、さらには「入社初日で辞めた」というツワモノまで。ただ、違法な労働条件を強いるブラック企業が問題になる中で「おかしな会社に洗脳される前に辞めよう」という価値観も浸透しつつある。必ずしも「ゆとりの若者」だけが悪いとも言い切れない面もあるのではないか。

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