定型的業務を切り出して雇用を生む
リクルートの川上祐佳里マネジャーによると、障害者には障害の種別や程度に応じた採用のポイントがあるという。
身体障害者は一部の行動に制限があるものの、基本的に健常者と同じ仕事を正社員として行うことが可能な人も多い。知的障害者は可能な業務が制限されるので、業務を細分化することがポイントとなる。
精神障害者は、能力はあるが、認知機能障害などにより臨機応変な判断を求められたり複雑な優先順位づけをしたりすることが苦手なケースが多い。また、ストレスを強く感じ疲れやすいため、短時間勤務を望む人が多い。
そこで、うつ病と統合失調症を中心に症状が安定し働ける状態にある人を対象に、「定型的な事務業務」かつ「時間調整のできるポジション」での活用を企業に提案している。
「採用企業からの反応は良好で、特に問題なく『普通に働いてくれていますよ』というものが多いです。障害者雇用のリピーターも増えました。確かに『何かやっておいて』みたいな任され方は苦手で、業務の指示を明確にする必要がありますし、勤務時間を柔軟に対応することが求められたりもします。どうすれば障害をお持ちの方と企業、双方が働きやすい職場にできるのか、そこをサポートすることが大切だと感じています」
法定雇用率を達成している企業は、東京都内では32.2%。残りの企業は未達成だ。障害者を受け入れることで、ギスギスした職場の雰囲気が和らぐようになり、「社員全員が優しくなった」という声もある。川上さんはこの事業を通じて、障害者に限らず「すべての人がいきいきと働ける世の中を作る」ことを目指したいという思いを強くしているそうだ。