先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)が、「東北スクール」というプロジェクトを進めています。岩手、宮城、福島から参加した12歳から17歳の生徒たちが、2年後にパリで開催されるイベントの企画、実施に向けた作業を行っています。
震災前には、多くの外国人が聞いたこともなかった東北の地名。悲しい出来事を伴いながらも知れ渡ったその名前を使って、若い人たちが広い世界に出て行き、その先で東北のイメージをよくする行動を起こすのは非常に素敵なことです。
東北スクールの取組み「大きくなって帰ってきてくれる」
このような取り組みに対して、「そんなことをしたら、若者がどんどん東北から海外に出て行ってしまう」と心配する人もいるようです。しかし、教育委員会の方々は、信念をもって、このプログラムを推進していました。
「短期的にはそれでもいい。『東北に生まれ育ってよかった』と思われるような教育を提供すれば、彼らは必ず外で大きくなって、再び東北に帰ってきてくれる」
海外就職の話をする時にも、同じことを言われることがあります。「若い人が海外に行っちゃったら、日本の将来はどうなるんだ?」と。私は、心配には及ばないと考えています。
そもそも海外で働く日本人の数は、まだまだ数十万人といったレベル。1億2千万人の日本の人口からしたら微々たる人数です。それ以上に、海外で働いた人は、どこかのタイミングで日本に貢献してくれるようになると思われるからです。
最近、ある日本企業の方から、「東南アジアのある国に新しく支社を出すから、その国で現地採用として働いていた人を紹介してくれないか」と頼まれました。その会社にとっては新規出店となる国なので、社内に経験者はいません。
他の国には支社があるので、海外進出のノウハウはありますが、その国の言葉や習慣、法律や言葉などについて未知数。現地のことをリアルに知っている人が一人いるだけで、多くの問題を未然に解決できる。だから、優秀な経験者を雇い入れたいとのことでした。