楽天の「完全英語公用語化」から、早や4か月。社外から「世紀の愚行」などという批判も聞かれた取組みだが、社内からは「意外と悪くない」という声も漏れ聞こえてくる。
開発部門のあるウェブ系エンジニアは、英語環境の整備に伴い、外国人スタッフが増えつつあることを歓迎している。今年度の新入社員の約3割、中途採用エンジニアの7割が外国籍。文化の違う人たちと仕事をする面倒はあるが、
「各国のスーパー技術者が集まってくるので、技術的に学べることが多い」
「わざわざ日本に来て働く外国人は志が高く、モチベーションが刺激される」
「メジャーリーグで野球をしている感覚」
と興奮気味だ。これもひとつの「英語公用語化」の効果といえるだろう。
日本人英語で何が悪い「大事なのは文法じゃない」
別の開発部門の社員も、外国人との仕事に新たな発見をしている。
「国際色が豊かになると、いろいろな価値観が感じられて楽しい。発想が広がって、チーム内の意見交換も活発になっています。日本人だけのコミュニケーションよりも『情報量が増える』という印象ですね」
英語がネイティブではない外国人もいるので、英語で話すことに恥じらいが少なくなったという人もいる。これは大きな効果といえるだろう。10人のメンバーのうち、6~7人が外国人というチームもできた。
「出身国による発音などの違いがあって当たり前で、ジャパニーズイングリッシュと言われても恥じる必要がないと分かりました。意味が分からなければ、相手に気軽に聞けばいいだけだし。誰もが『大事なのは文法なんかじゃない』と言っていますよ、社交界じゃあるまいし」
英語が得意な友人からは「そんな発音じゃ通用するわけない」と脅されていただけに、実際に働いてみると違う印象を受けたと驚いている。確かに、ロンドンのシティならともかく、発音が悪いから試合に出られないメジャーリーガーなどいるわけがない。
また、人間に対する感覚として「皮膚や目の色、生まれた国だけでは、何も決めつけられない」と分かったという。いずれも日本人だけの職場では得られない経験だ。