日本時間の2012年9月13日午前2時、米サンフランシスコで期待の「iPhone5」が披露された。目玉はその「速さ」。次世代通信方式LTEに対応し、国内ではauとソフトバンクが基地局攻勢による速度合戦を繰り広げている。
またiPhone5に先立ち、12日には最新OS「iOS 6」の発表があり、19日に配信が開始された。OSの話題は端末に比べて地味だが、今回は企業のマーケティング担当者に見逃せない新機能があった。それが「Passbook(パスブック)」だ。アップルによる「異業種の侵食」すら予感させる。
「先着1000名プレゼント」など導入事例が続々
パスブックとは、簡単に言うと「電子チケットや電子クーポン、電子会員証などをひとまとめにして管理できるアプリ」である。配信に合わせて、すでにいくつかの企業がいち早く導入している。
木村屋總本店では特製あんパンを、無印良品有楽町店ではブールドネージュ(クッキー)を、それぞれ先着1000名にプレゼントするクーポン券を配付している。
アパレルのGap渋谷・原宿・銀座各店では先着350名限定でオリジナルグラスやトートバッグを、アディダス銀座店は先着100名限定ではオリジナルボールペンをもらえるクーポンを配付している。
これらのクーポンは、パスブックに対応したパスを紹介するポータルサイト「PassBank(パスバンク)」に掲載されている。
クーポン以外では、10月1日から全日空がパスブックを使って「デジタル搭乗券」を発行する予定だ。航空券を購入して座席指定をした後、パスブックに登録すると、搭乗チェックインを行わずにiPhoneをかざすだけで飛行機に乗れるようになる。運航状況や出発時刻に変更があった場合、プッシュ通知が届くのも便利だ。
ぐるなびでも、パスブックの導入を開始している。ユーザーが保存した飲食店の近くに行くと、iPhoneの待受画面にクーポンのプッシュ通知が自動的に表示される。ユーザーは、表示されたパスブックの画面をお店で提示するだけで、割引等サービスを受けることができる。iPhoneのGPS機能と連動している点が特徴だ。