社員が休職した場合、いかにして「穴埋め」をするか。社員数の少ない中小零細企業では、大きな悩みの種となる。助っ人をどこから、どうやって調達するか。また休職者が復帰してきたら、助っ人の処遇はどうすればよいのか。
ある会社では、病気休職と育児休業の間に「半年復職」をしたいと社員が申し出てきたが、穴埋めに中途採用した社員が活躍しているので、できれば復職してほしくないという声があがっている。
後任が活躍中で与える仕事も見当たらない
――中小商社の人事です。先日、営業部の30代女性Aさんから「妊娠した」という連絡が入りました。通常であればおめでたいことですが、実は頭の痛い理由があります。
それは、Aさんが半年前から休職しているからです。彼女は昨年から思うように営業成績が上がらず、病院でうつ病と診断されて自宅療養していました。
Aさんの担当エリアには重要顧客がいるため、営業部長は中途採用のCさんを配属しました。Cさんはすぐに仕事に慣れて、安定した成績を上げ始めました。しかしAさんは、
「すっかり調子もいいので、早めに復職させてください。子どもが産まれたら、いろいろとお金がかかるので蓄えも作りたいのです。主治医もそろそろ復職していいと言っていますし」
と強く頼んできます。
しかし復職したとしても、Aさんにしてもらう仕事はありません。Cさんがいるので「元の担当エリアへの復帰」はさせられないですし、Aさんのために新たな仕事を作って与えたとしても、半年ほどで育児休暇に入るのは分かりきったことです。
そこで営業部長は、「会社の復職判定委員会で『復職不可』という結論を出してしまえば、すべて丸く収まるだろう」と怪しげな提案してきました。ちょっと恣意的な判断になりますが、こんなやり方で問題は起こらないものでしょうか――