「O2O(オーツーオー)」という言葉をご存知だろうか。「Online to Offline」の略で、ネット上のマーケティング活動を、リアル店舗での購買などオフラインにつなげる施策のことを指す。以前紹介したローソンLチキの「LINE」でのクーポン配信も、そのひとつと言えるだろう。
ローソンではさらに「AR(拡張現実)技術」によって、ネットとリアルを結びつける先進的な取り組みを行なっている。それが2012年7月30日までの期間限定で行われている「平沢唯AR企画」だ。
現実とキャラクターが合成。触ると反応もする
「平沢唯AR企画」は、スマートフォンでローソン公式アプリを立ち上げ、全国のローソン店舗に設置された「LAWSON Wi-Fi」に接続することで体験できる(病院内など一部店舗を除く)。
アプリ内でメニューを選択すると、カメラが起動し、現実の風景の上に人気アニメ『けいおん!』の主人公の女子高生、平沢唯の3Dコンピューターグラフィックが合成される。
実際に店舗で試してみると、画面内の平沢唯を回転させて向きを変えたり、上下の位置を調整することができた。また、タッチすると、
「やっほー、ローソンにきたよ」
「心配しなくていいよ、すぐみつかるから」
「ご飯はおにぎり屋、パスタはパスタ屋さん」
などのリアクションやセリフを返してくれる。店内でひとりでスマホをのぞき込んでいると、やや恥ずかしくなるのが難点だ。
ARが有効になるのは、店頭Wi-Fiが認識できる空間のみなので、平沢唯のファンは店舗に足を運ぶしかない。こうしてスマホユーザーをリアル店舗に誘導することができる。まさに「店舗で会えるアイドル」である。
店頭限定配信の動画・音楽で店舗へ誘導
この「平沢唯AR企画」を実現しているのが、店頭Wi-Fiを利用した「位置判別」と「AR」の技術だ。
店内の位置情報を元に、スマートフォン内の画面に情報を付加し、現実とのミックスを巧みに行なっている。この技術によって、唯ちゃんが店の入口を覗きこむような詳細な制御が可能になるようだ。
ローソン公式アプリでは、このほか、ムービー、ミュージック、プレイ(AR・ゲーム)の3つのコンテンツを用意している。ムービーでは動画配信サイトBeeTVの有料動画を、ミュージックでは音楽配信サイトmu-moの有料音楽を一部無料で視聴することができる。
動画や音楽コンテンツを集中して楽しむには、立ったままだとややつらいが、休憩スペースがある店舗では問題ないだろう。スマートフォンユーザーの増加に伴い、「O2O」の取組みは今後増えていきそうだ。(岡 徳之)