「若者の3割は3年で辞める」と言われて久しい。こらえ性がない、というニュアンスで使われることもあるが、3年我慢して納得いかなければ、もう十分というものだろう。
そんな3年間を乗り越えたものの、やっぱり「仕事に対するモチベーション」が上がらず、低い状態にある206人に理由を尋ねてみた。すると、
「給与やボーナスに満足していないから、または上がりそうもないから」
と答えた人が47.1%(複数回答)で、ダントツ1位となったという。
「一度入った会社は、そう簡単に辞めるものではない」という声も聞こえてきそうだが、給与が安すぎる会社で3年も働き、これからも上がりそうもないと分かれば、嫌気がさすのは当たり前というものだ。
「仕事を通じた成長」だけでモチベーションは改善するか
一方、入社4年目で仕事に対するモチベーションが高い206人に、その理由を尋ねたところ、「仕事を通じて成長しているという実感があるから」(38.3%)、「職場の人間関係がいいから」(35.9%)が上位になっている。
「給与やボーナスに満足しているから、上がりそうだから」と答えた人は、わずか9.7%だった。調査元のJTBモチベーションズでは、次のようにコメントしている。
「入社3年の離職を防ぐためには、給与や労働条件などの『外発的なモチベーションの悪循環』から脱却させ、成長や適職感などの『内発的なモチベーションの好循環』を促進することが社員育成のカギとなる」
「自己の成長」に目を向けさせれば、離職を防ぐことができるということなのか。ここで気になるのは「平均給与」が、モチベーションの高い層と低い層でどの程度違うか明らかにされていないことだ。
モチベーションの高い層は給与に満足しているので、「自らの成長」に意識が向く余裕があるのかもしれない。モチベーションの低い層の安月給を放置したまま、「自らの成長」へと意識を切り替えさせることは難しいのではないだろうか。
経済的な見返りは効果が長続きしないという指摘もあるが、せめて健康で文化的な生活が送れる程度の給与を支払い、明るい将来見通しを示してから、社員にやる気や忠誠心を求めて欲しいものだ。