昨日(2012年6月26日)、消費税増税法案が衆院で可決された。直前まで民主党内は主流派と反対派で揉めに揉め、結局72人の造反議員を出す結果となった。処分については未定だが、このままでは収まらないはず。まさに党を割る結果と言っていいだろう。
ところで、今回のドタバタを報じるテレビや新聞の報道を見ていると、そのすべてが「増税派vs増税反対派」という論調なのが気になった。筆者から見れば、本当の対立軸はまったく別のところにあるからだ。
彼らが「増税反対派」というのはフィクションだ
実は、年齢が上がれば上がるほど増税を容認する人の割合が高いというデータがある(「医療費の財源に関する調査」2011より)。これは、高齢者ほど自分が今受け取っている社会保障を(財源不足を理由に)カットされることを恐れているためだ。
数が多い上に投票率も高い高齢者さまがGOサインを出した以上、いかないわけにはいかない。これが、民主、自民、公明という三党が争って増税で合意したいきさつだ。某省の陰謀なんて大それたものではなく、単純にマーケティング調査をしてお得意さまのニーズを汲んだ結果だろう(もちろん、次世代のため、なんて理由でもないはず)。
では、小沢派を中心とする造反議員たちは、世代間格差是正に立ちあがった闘士たちなのかというと、それも全然違う。筆者の知る限り(先に離党した新党きづなも含め)、彼らは社会保障の抜本的見直しをしろとか、まして世代間格差を是正しろなどということは、これまで一度として口にしたことはない。
仮に彼らの要求どおり、消費税引き上げを潰せば何が起きたか。恐らくは、厚生年金積立金やその保険料といった「取りやすいソフトターゲット」が狙われたに違いない(実際、昨年度から暫定的に、基礎年金の国庫負担分の財源として、厚生年金の積立金が流用されている)。
そう考えると、今回の造反派というのは、言いかえれば「わざわざ消費税上げなくても、サラリーマンから取ればいいじゃない、どうせ文句言わないんだし」派というのが正しい。
要するに今回のドタバタは増税派の仲間内で、消費税上げようグループと、取りやすいところから取っとけグループが内ゲバしていたというのが実態なのだ。連合が早々と前者の支持に回ったのは、これが理由である。彼らは自分たちが格好の標的となっている事実をよく理解しているのだろう。