職場は、仕事をする場所だ。とはいえ、人間が長い時間を過ごす場である限り、仕事に関係ないものを極力排除することが最善かというと、必ずしもそうでもない面もある。「ギスギスした職場」が個々人の生産性を下げることも知られている。
ある会社では、職場の殺伐とした雰囲気に社員たちが不満を漏らしたところ、新入社員が「熱帯魚の飼育」を提案し、職場に水槽を持ち込んで飼育し始めたという。
職場の評判も上々「オフィスにいたら和むよね」
――中堅商社の総務です。先日、社員から匿名のメールが来ました。隣の部署で熱帯魚を飼い始めたが、放っておいて大丈夫なのかという内容でした。
現場を見に行くと、新人のA君が自分のデスクに小さな水槽を置き、赤青黄の熱帯魚を数匹泳がせていました。
驚いてA君に経緯を聞くと、先月末に残業を終えて帰ろうとしたとき、先輩や同僚たちと「殺伐とした職場だよね。なんか和めるものないかな」という話になったそうです。
そこでA君が、実家で熱帯魚をたくさん飼っているから、何匹か持ってきてもいいと申し出たところ、
「オフィスに熱帯魚がいたら和むよね~」
「いいなーいいなー、何匹か持ってきてよ」
と盛り上がりました。翌週に水槽をセットしたところ、職場の評判は上々。A君が出張中の日には、同僚たちが掃除や餌やりを分担しているそうです。
部長に「あれはいいんですか?」と尋ねましたが、「小さい水槽だし、みんなが仕事をするならいいんじゃない?」と答えています。
ただ、A君の様子を見て、「私も魚飼いたい!」「うちのトカゲとか持ってきてもいいかな」という人もいると聞き、このまま放置して大丈夫なのかなという気がしています――