なぜ基金はバクチを張ったのか AIJ問題が示す「年金の未来」

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積立不足を認めたうえで、基金解散を認めるしかない

Q:そんな基金なんて、解散した方がいいんじゃないの?

   本音では、ほとんどの基金は解散したがっているはずだ。でも、解散する際は、代行分の積立不足をすべて返済しなければならない。これは中小企業には高すぎるハードルだ。積立不足も解消できず、解散も認められないまま、ずるずると落ち続けているというのが多くの基金の現状だろう。

Q:対策はどうすべきか

   上記の構図を理解すれば、運用面での規制強化などなんの問題解決にもならないことは明らかだろう。追い詰められた基金は、また別のAIJに手を出すか、掛金を負担できなくなった企業が倒産し、最悪の場合、基金内の連鎖倒産という形で他社に波及するはずだ。

   対策としては、積立不足を認めたうえで基金解散を認める以外にない。ちなみに、基金の積立金の水準は必要額の3割以上はあるので、不足とはいっても国の厚生年金よりははるかに健闘していることになる。褒められこそすれ、国に責められる道理などないだろう。

   厚労省が基金の解散を認めないのは、(厚生年金よりはるかに財務状況のマシな)基金のギブアップを認めることは、厚生年金自体の絶望的な未来を認めることに他ならないからだろう。だが、認めようが認めまいが現実は変わらない。AIJ問題が、その事実を国民に気付かせるきっかけになってくれることを願うばかりだ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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