チャンスを活かす! 「エレベータートーク」の要点は8つ

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「社長、5分でいいのでお時間下さい!」

   忙しいキーマンに貴重なプレゼンの時間をいただいたのに、「さて…ですね。とはいえ…」とモゴモゴしていたら、あっという間にタイムオーバー。せっかくのチャンスを無駄にしたことはありませんか? 問題は、短時間に相手を説得する準備が不十分だったこと。急に訪れるプレゼン機会に備え、日頃から準備万端整えておきたいものです。

   ビジネスの場面では、限られた時間で言いたいことをわかりやすく相手に伝えることが頻繁に求められます。いわゆる「ショート・プレゼンテーション」という部類で、米国では「エレベーター・ピッチ」「エレベーター・ブリーフィング」「エレベータ・ートーク」など様々な名前で呼ばれます。

タイトルや目的、提案プランを詰めておく

   この名前はアメリカのシリコンバレーで、起業家がベンチャーキャピタルや投資家の勤務するオフィスのエレベーターの前で待ち伏せし、偶然エレベーターに乗り合わせたふりをして、短時間(30秒~1分程度)に自らの事業内容の魅力を伝えることに成功し資金調達にこぎつけたというサクセスストーリーからきています。

   具体的には、以下の8つのポイントについてあらかじめまとめておき、超短時間にプレゼンするのです。もちろん、世間話の時間などありません。シナリオをよく考えておかないと、タイムオーバーになります。何回も練習して貴重な機会に臨みたいものです。

1.タイトル(話したいテーマ)
2.意思決定して欲しいこと(ex.○○分野を自社に担当させて欲しい)
3.施策の目的(どのようなゴールに導くか、どんな効果があるか)
4.現状と課題(ex.実績が下がった背景の分析)
5.施策概要(具体的な提案プランや対象となる窓口)
6.付随項目(上司に頼みたいこと)
7.定量効果(改めて具体的な成果の提示)
8.実現のスケジュールと検証のタイミング

   ポイントは、優先順位の高いことから話すことです。また、相手の意見を聞きながらというよりも、伝えたい自分の結論を明確にすべきです。重要な質問を想定しておき、それに端的に答えられるようにする準備も必要でしょう。

   私も以前に、短時間のプレゼン機会に失敗して痛い目をみたことがあります。ある専門商社での話。商談が進まないのは担当者が上司に判断を仰がないからだ、と決めつけていた私は、何度も「上司に会わせてください」と要望していました。

   ところが担当者は「そのうち紹介するよ」とかわすだけ。諦めかけていたころ、ある日「今日の午後は開いているかな」と担当者から電話があり、無防備に会社を訪問すると、びっくり。応接室に担当者の上司が入ってきました。

「うちの担当に何回も面会希望を依頼していたらしいですね。ご用件は何でしょうか?」

チャンスはいつ来るか分からない

   時計をちらりとみながら、イライラした様子で応接に座る上司は、いかにも強面。思わず頭が真っ白になり、何を話すべきか忘れてしまいました。

   さらにいきなりの面会で準備不足から、「いろいろお世話になっております。まずはお目にかかってごあいさつができれば光栄です」と意味不明なコメントをしてしまいました。

   結局、商談を前進させる話をすることもできず、「じゃ、あとは担当と詰めてください」と上司は席を立ってしまいました。上司が立ち去ったあとに、担当者は顔を赤らめて、

「そんなあいさつだけで、会いたいと何回も頼んできたのですか? 熱心な営業だからちょっとでもいいから時間を欲しい、と頼んだのに。僕も顔をつぶされましたよ」

とお怒りモードがありあり。それ以後、担当者とも会いづらい状況になっていきました。

   実に恥ずかしい思い出です。上司に面会を頼むなら、的確に訴えるプレゼンの準備を十分にしておくべきだったと、いまさらながら後悔の念が湧いてきます。

高城幸司

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高城幸司(たかぎ・こうじ)
1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。
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