やっぱり、今の日本の若者は恵まれている

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   以前に書いた「今の若い人は恵まれていて、本当にうらやましい」というコラムには、多くの反応をいただいた。40代以上の多くの方々が同意してくれたが、若い人からはかなり反論もあった。そこで今回はその続きの議論をしていきたいと思う。

   仮にタイムマシンで、過去のどんな時代の人にでもなれるとしてみよう。その時あなたは、いつの時代に行きたいだろうか? 70代以上のように戦中戦後に若い時代を過ごしたい、と思う人はいないだろう。

「将来の年金が一番心配」なんて笑われる

「世界の人類史上最高」の豊かさを享受する
「世界の人類史上最高」の豊かさを享受する

   では、60代はどうか。「昔は夢があった」などという意見もあるが、それは美化された過去を振り返っているだけであり、当時そんな風に思っていた人などほとんどいなかったはずだ。

   特に団塊を中心とする世代は人数が多く、同世代の間の競争が非常に厳しかった。将来のことなど、誰にもわからない。確実にわかっていたのは「今は厳しい」ということだけだった。大学進学率が15%から20%の時代である。

   50代、40代と下るにつれて、社会は豊かさを増してきた。そのピークを迎えているのが、今である。

   私は50代だが、今の若い人の生活のレベルの高さが羨ましくてしかたがない。PC、ネット、携帯電話、ユニクロ、コンビニ、100円ショップ、安価な外食チェーン、冷暖房完備のアパート等々が当たり前となっている時代。まるで夢のようだ。

   はっきり言おう。日本の歴史上もっとも恵まれた世代は、今の若者だ。「世界の人類史上最高」といってもいいと思う。

   世界を見回すと、ユーロ圏の若者の失業率は平均2割以上、アメリカでも17~18%だ。スペインでは、ほぼ2人に1人が失業している。こういう国の若者と日本の若者が会話をしたら、きっとこんな風になるのではないか。

ス「スペインの若者は厳しい状況にある」
日「日本も同じだ」
ス「何しろ2人に1人が職につけない状況で、大規模の抗議デモなどをやっているんだ。日本はどうなのか?」
日「日本の若者も大変だ。将来の年金が大きく減るかもしれないことを考えると、夜も寝られない」
ス「えっ、40年後のことが一番の心配だって? それはつまり、今の生活に不満がないということじゃないのか。厳しい状況にあると言っていたくせに…。君は人を馬鹿にしているのか?」
小田切尚登
経済アナリスト。明治大学グローバル研究大学院兼任講師。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバ等の外資系金融機関で株式アナリスト、投資銀行部門などを歴任した。近著に『欧米沈没』(マイナビ新書)
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