社会保険労務士・野崎大輔の視点
育児休業を理由に解雇することはできないが
リスクを最小限にするには、女性社員の申し出どおり育児休業を取らせ、復職させる方がいいと思います。雇用機会均等法や育児・介護休業法は、育児休業を取得したという理由で、解雇などの不利益な取り扱いをすることを禁じています。労働基準法にも解雇制限があり、産前産後の休業期間とその後30日間は、労働者を解雇することはできません。
傷病休業および産前産後、育児休業の間は、会社の規定によりますが無給でも問題ないでしょう。満3歳までの子どもを養育するために育児休業を取る場合、申請をすれば会社分と本人分の社会保険料が免除されるので、会社の負担はほとんどないと思われます。本人には健康保険から出産育児一時金、出産手当金が支給されます。
とはいえ、実際の復職に当たっては現実的に懸念されることもあるわけですから、そのような点について慎重に説明をしたり相談をしたりすることは、実務的にはありうるのではないかと思います。ただし、禁じられている不利益な取扱いには退職勧奨も含まれますので、「辞めて欲しい」という言葉は使わないようにすべきです。
(※なお、事業主は、労働者から育児休業の申出があったときは、原則として拒むことができません。しかし「労使協定」を締結して雇用された期間が1年に満たない労働者を除外すると定めた場合は、育児休業の申出を拒むことができます。)