新人の女性社員に妊娠発覚 「休職します」と言われたが…

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社会保険労務士・野崎大輔の視点
育児休業を理由に解雇することはできないが

   リスクを最小限にするには、女性社員の申し出どおり育児休業を取らせ、復職させる方がいいと思います。雇用機会均等法や育児・介護休業法は、育児休業を取得したという理由で、解雇などの不利益な取り扱いをすることを禁じています。労働基準法にも解雇制限があり、産前産後の休業期間とその後30日間は、労働者を解雇することはできません。

   傷病休業および産前産後、育児休業の間は、会社の規定によりますが無給でも問題ないでしょう。満3歳までの子どもを養育するために育児休業を取る場合、申請をすれば会社分と本人分の社会保険料が免除されるので、会社の負担はほとんどないと思われます。本人には健康保険から出産育児一時金、出産手当金が支給されます。

   とはいえ、実際の復職に当たっては現実的に懸念されることもあるわけですから、そのような点について慎重に説明をしたり相談をしたりすることは、実務的にはありうるのではないかと思います。ただし、禁じられている不利益な取扱いには退職勧奨も含まれますので、「辞めて欲しい」という言葉は使わないようにすべきです。

(※なお、事業主は、労働者から育児休業の申出があったときは、原則として拒むことができません。しかし「労使協定」を締結して雇用された期間が1年に満たない労働者を除外すると定めた場合は、育児休業の申出を拒むことができます。)

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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