企業の口コミサイト、ヴォーカーズの会員データを分析したところ、社員による会社評価が最も高かったのは三井物産で、5点満点の3.8点だった。2位以下にはベネッセ、住友商事、リクルート、三菱商事が続いた。
ヴォーカーズは、会社員20万人の会員を擁する。「待遇面の満足度」や「社員の士気」「人事評価の適正感」や「法令順守」など8つの項目で、実地に働く従業員による会社の評価情報を集めている。
「待遇面の満足度」で突出する住友商事
三井物産は、8つの項目で総合的に高い評価を集めているが、特に高いのは「人材の長期育成」の充実度で3.8点。総合2位のベネッセは「法令順守意識」の高さで4.4点と高い数字を出している。
「待遇面の満足度」は、総合3位の住友商事(4.5点)が目立って高い。「社員の士気」が高いのは、総合4位のリクルート(4.2点)。独立心の高いスタッフが多いという評判がそのまま表れている。
上位には大手商社、メーカー、金融機関などが多く見られるが、総合12位にコーヒーチェーンのスターバックスが入っているのが異色だ。総合9位と健闘したサイバーエージェントは、法令順守の2.9点が足を引っ張った。
社会人経験のない学生のランキングで順位の高いオリエンタルランドは、3.4点。「チームワーク意識」は4点台と高いが、「人事評価の適正感」では2.6点。同じく学生人気のJTBは総合2.9点で、待遇の満足度の低さ(2.1点)が目につく。
大企業なら一生利益の出ない仕事でもいいのか
なお、一人ひとりのコメント内容を見ると、大手人気企業に勤めながら葛藤を抱える人もいるようだ。三井物産のある社員は、転職を考えた理由として、
「終身雇用を前提としたキャリア設計のため、20代のうちに自ら事業を推進することは極めて稀。不採算部門も事業ポートフォリオの一角なので、一生儲からない事業に従事する可能性もある」
と打ち明けている。人生の多くの時間を費やすのにふさわしい場所なのか、という疑問も湧くが、「会社の将来、雇用に不安がないの(が重要)であれば(この会社で働くことに)問題はない」と付け加えている。
一方、サイバーエージェントを退職した人からは、
「営業会社であるゆえに、顧客のために考え抜こう、良い広告を作ろうと考える前に、自社の利益や目標数字の達成に向けて『カネさえくれれば何でも売る』という体質がある」
としている。安定した大手企業で一生利益の出ない仕事をするのか、勢いのある新興企業で数字を追い求めるのか――。いずれにしても人気企業の社員も、外から想像するほどラクではないということだろう。