リアルタイムで「本」が作れる「BCCKS(ブックス)」の可能性

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   紙はもちろんスマートフォンやタブレットPCも含めたマルチディバイスに対応する、日本発の電子書籍プロジェクト「BCCKS(ブックス)」。

   プロによる作品だけでなく、一般の人でも簡単に「本」をつくることができる、CGMコンテンツを提供するサイトの一つです。

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竹中直純氏が技術担当

フォントは業界大手の老舗が提供(BCCKSのサンプルデータより)
フォントは業界大手の老舗が提供(BCCKSのサンプルデータより)

   先日、BCCKSでつくられた「本」を読むことができるアプリの公開にあわせた説明会があり、雨がそぼ降るなかを行ってきました。

   正直、電子書籍といえば、愛想のないハードウエアの画面上に無機質なフォントがベターっと並んでいて、とりわけ和書ではとても読む気にならなかったというのが、個人的な印象です。

   そんなわけで、あまり期待せずに行ったのですが、技術面を竹中直純さんが担当しているということで、ひょっとしたらという思いもありました。

   知っている人はご存知だと思いますが、竹中さんは黎明期からずっと、ネットのなかでオリジナリティに富んだ面白いことが起きるところに必ずいるエンジニアなのです。

   結果から言えば、期待以上に面白いものでした。

   細かなことはBCCKSのサイトや、説明会(発表会と銘打っていましたが)当日の様子を報告したニュースサイトがあるので参照していただくとして、簡単に言えば…。

   なにしろ、スマートフォンやタブレットPCさえ手元にあれば、いつでもどこでも小説やルポ、それに写真集を「リアルの書籍のような美しいデザインとレイアウトで」つくることができ、またダウンロードして読むことができます。

本好きがスマホ欲しくなる

   フォントは業界大手の老舗が提供している「活字」にそっくりなものなので、電子書籍リーダーによくあるベターっとした「ブラウザやエディタで見るテキストデータ」のようなものではありません。

   誤解を恐れずにいえば、これまで馴染んできた「本」がとても上手くエミュレートされて画面上に表示されている、といった感じでしょうか。

   本好きとしては、これならスマートフォンかタブレットPCを買う理由にさえなると思ってしまったほどです。

   まだVer.0.1とのことで、これからさらなる機能の拡張が順次行われる予定だとか。

   たとえば、同人が集まるイベントに出品する作品も、そのイベントの様子を報告するルポも、イベントからインスパイアされた新たな作品も、どれもが「本」としてリアルタイムにつくられ、ダウンロードあるいは実際に簡易製本されて即時的に流通し、読まれ、さらなる刺激を与えて新たな作品を登場させる。

   そんなことが、いつ実際に起きてもおかしくない、そんな妄想をかきたてられました。

井上トシユキ


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井上トシユキ
1964年、京都市出身。同志社大学文学部卒業(1989)。会社員を経て、1998年よりジャーナリスト、ライター。東海テレビ「ぴーかんテレビ」金曜日コメンテーター。著書は「カネと野望のインターネット10年史 IT革命の裏を紐解く」(扶桑社新書)、「2ちゃんねる宣言 挑発するメディア」(文藝春秋)など。
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