2012年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「絶対に就職したい企業ランキング」によると、男子では「NTTデータ」が1位となり、「ソニー」「日立製作所」が同率2位で続いた。女子では「三井住友銀行」と「三菱東京UFJ銀行」が同率1位だった。NTTデータは、女子でも8位に入っている。
一方、「絶対に就職したくない企業ランキング」は、男子では「モンテローザ」「東京電力」が1位と2位、女子では「楽天」と「野村證券」が同率1位となった。不人気で女子1位の「楽天」は男子4位、男子1位の「モンテローザ」は女子3位にもあがっている。
「就活のプロが選ぶ優良企業」ではランク外
この調査は企業クチコミサイト「キャリコネ」が、有名大学を中心とした学生1473人から回答を得たもの。調査元では「甘さの混じった学生のイメージ重視の結果」であり「寛大な心で受け止めていただきたい」としている。
人気ランキング上位には大手企業が多く、不人気ランキングには店舗勤務やノルマ営業で仕事がキツそうといった共通点も見られる。学生たちの「激務はイヤだ」「大手は安心」という考えの反映だろう。
一方で、これまでの「安定性」「楽な仕事」を基準とする企業選びは意味が薄れたという人も少なくない。安泰な企業などないのだから、「成長している企業」に入って自らの「転職力」「市場価値」を上げる経験を積むべきであり、「キツイ仕事は嫌だ」という考え方に未来はないというのだ。
『就職活動完全ガイド』(晋遊舎)は、有名人事コンサルタントなど就活のプロ35人が選んだ「大学生は知らない優良企業辛口ランキング100」を掲載している。1位は「リクルート」、2位以下には「グーグル」「P&G」「サイバーエージェント」「ホンダ」が並んでいる。
ここには「キャリコネ」で学生の人気を集めた「NTTデータ」や「日立製作所」「三井住友銀行」の姿はなく、「ソニー」(31位)や「三菱東京UFJ銀行」(43位)も高評価とはいえない。
一方で、キャリコネ不人気1位の「楽天」は、優良企業の9位に入っている。「もはやネット系企業とは見られない人材層の厚さ」「成長性、展開性の大きさ」が、可能性を磨く職場として魅力的だということだ。
就活のプロ「風評に惑わされず、自分の基準で選べ」
「大学生は知らない優良企業辛口ランキング100」の作成に参加したブラック企業アナリストの新田龍氏は、キャリコネの不人気企業のような会社が抱かれがちな「激務で泥臭い」「理不尽な社風」というイメージは、あくまでも一面的だと指摘する。
「名前があがった会社には、各業界で顧客の支持を得て収益をあげている勝ち組も少なくありません。業界1位企業での勤務経験は、将来に活かせます。男子不人気5位の王将は、高級フレンチ『ひらまつ』と肩を並べる高収益企業で、他業界から参考にされることも多い。男子不人気9位のキーエンスは業界1位の高給企業です」
華やかな人気企業にも、ガッカリな内幕がある場合もある。不人気企業でも活躍して充実した社会人生活を送る人はいるし、人気企業に入りながら「すぐにでも辞めたい」と不満を募らせる人もいる。
「ネットに書き込まれている風評に惑わされ、『他人からバカにされるかも』と世間体を気にするのではなく、自分自身の判断基準で企業選びをすることが重要ですよ。就活生は20歳を超えた成人。大人の情報収集力、分析力で、主体的な判断をして然るべきです」