森永乳業は2011年3月28日から、始業時間を1時間早める「サマータイム」を実施中だ。9月末まで続行する予定。
東京本社のコーポレート部門とマーケティング部門の約500人が対象。取引先との関係から、製造部門と営業部門は対象から除外する。計画停電の終了後も、首都圏の他の事業所での実施を検討中だという。
エレベーター休止「8階ビルを階段で行き来」
震災後、計画停電で鉄道の運行が混乱したことを受けて、同社の人材部が通勤・帰宅ラッシュを避けた「時差通勤」を発案。
「節電」が呼びかけられていたこともあり、明るい時間に業務を集中させてエアコンや照明の電力削減を図るため、始業・終業時刻を1時間早めることにした。
午前9時~午後5時半の就業時間を、午前8時~午後4時半に変更。オフィスや廊下の照明を落としているので、「暗くなる前に帰宅しよう」という意識が高まるという。広報部によると、残業時間が増える傾向は「今のところありません」。
社員からは、
「仕事のやり方を工夫するようになり、メリハリをつけて仕事をやろうという気になった」
「退社時間が早まり、自分の趣味の時間に当てられるので助かる」
という歓迎の声もあがっている。
また、節電策の一環として、エレベーター2基のうち1基の運転を休止。普段から「健康維持のために階段を利用しましょう」と呼びかけているためか、ほとんどの社員が8階建て社屋内の階段を使って行き来しているという。
3月11日の本震や4月7日の大規模余震の際には、東北・関東地方でエレベーター内に閉じ込められた人が続出した。計画停電による閉じ込めも首都圏で122件にのぼる。余震は今後いつ発生するか分からず、階段利用が定着するかもしれない。