1月13日付けの東京新聞に、「『携帯で内職』 トラブル続出」と題された記事が掲載されていました。昨年12月15日に、日経新聞にも同様の記事はあったのですが(「携帯内職商法トラブル急増、高額なサイト開設料請求」)、東京新聞の記事では実際の被害者に取材がされていて、生々しい実態がわかるものとなっています。
その中身は「伝統的な悪徳商法」
代表的なトラブルの例を簡単にまとめると、以下のようになります。
携帯電話で簡単に、手の空いている時など好きな時間を選んでできる仕事、子どもがいても大丈夫などと謳い、在宅アルバイト業務員を募集。
内容は、問い合わせメールへの対応やサイトに掲載する文章、データなどの作成と説明され、時給1000円前後の高額報酬が得られると言われる。
履歴書を送らせたり、試験と称して常識問題を解かせたりしたのち、合格の知らせを受けるが、その際に「登録料」や「サイト作成費」などの名目で40万円から60万円程度を入金させる。
しかし、仕事は来ず、逆に更新料やバージョンアップ費、PR費として追加の入金を要求される。
金がないと言うや、消費者金融を紹介されたり、クレジットカードのショッピング枠を使って現金化することを求められたりする…。
知っている人はお気づきでしょう。伝統的な「内職商法」をケータイに置き換えただけです。
このトラブルが2010年中だけで231件も、国民生活センターに寄せられたと記事にあります。
この記事を知って、「自分は怪しいなと思ったけど、あやうく騙されかけた知人もいた」というのは、東海地方に住むアラフォーの主婦。
「手軽にできる仕事」検索でヒット
「記事ではタウン誌や折り込み広告に掲載されていたって書いてあったけど、私の周囲ではケータイやPCでアルバイト、副業、内職って検索して見つけた人が多かったですね」
幼稚園ぐらいまでの小さな子どもがいると、フルタイムの仕事は厳しいが、ちょっとした暇な時間はある。
そこで、手軽にできる仕事、ということで検索すると引っかかってくるのだそうです。
被害者の約7割が30代以下というのには、こうした事情も少なからずあるのでしょう。
ほかにも、ケータイでポイントサイトに登録してメールを受信すれば、ポイントが貯まって月に最大3万円ほどが稼げる、というのも多く見られるのだとか。
ただ、これもポイントサイトへの登録を入り口に、サイト運営への協力を求められ、最後には商品の連鎖取引に勧誘され数十万円の登録料を支払わされるという例もありました(20代前半の若者を狙った連鎖販売取引(マルチ)事業者に業務停止命令)。
楽して稼げる、放っておいても儲かるといった甘い言葉には、ネットであれ現実社会であれ、十分以上に注意が必要です。
井上トシユキ