世界を旅する個人事業主 ドーハでサッカー観戦中

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   サッカーワールドカップ(W杯)出場32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を完遂したアシシです。当コラムをW杯開催地の南アフリカで更新した後、半年間も放置してスミマセン。W杯閉幕後は個人コンサルタントとして東京のプロジェクトに参画し、「社会の歯車」としてハードな労働に従事していたのでした。

   個人コンサルタントとして働きつつ、プロジェクトのない期間は旅をするライフスタイル、いわゆる「半年仕事・半年旅人」の生き方をモットーとしている僕は、プロジェクトの契約を年末に満了し、年始からはサッカー・アジアカップの開催地、カタールの首都ドーハに来ています。

   1月いっぱいはアジアカップを現地で観戦し、2月はヨーロッパ各国を周ります。これからまた定期的に旅先からコラムを更新していく予定です。

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カタールのお金持ちは「カタール人」だけ

対ヨルダン戦には和装のサポーターもいた
対ヨルダン戦には和装のサポーターもいた

   中東のペルシャ湾沿いに位置するカタールは、2022年W杯開催地に決定した国として日本でも有名な国でしょう。首都ドーハは、サッカーファンならずともきっと聞いたことがある「ドーハの悲劇」の舞台となった都市です。

   東京は最低気温が零下になったそうですが、1月のドーハは最高気温25度、最低気温15度くらい。夜は若干肌寒いですが、昼間は半そで姿で外出できるくらい快適です。

   潤沢なオイルマネーにモノを言わせて(?)W杯開催の決戦投票を勝利したカタールですが、この国、なぜかとても物価が安いのです。スーパーで買う350ccのコカコーラは1.5リヤル、日本円にして約30円。タクシーの初乗り料金は4リヤル(約90円)です。

   というのもこの国、お金持ちなのは「カタール人」だけ。街で暮らす人々の大半は、発展途上国から来ている出稼ぎ労働者なので、現地の物価は相当低く抑えられているようです。

   タクシー運転手やスーパーの店員たちと世間話をした際、彼らの出身を聞いてみると、インドやバングラデシュ、ネパール、フィリピンなど、様々な国から来ていることが分かりました。

   試しに「アジアカップではカタールを応援するのかい?」と英語で聞いてみると、「まさか、そんなワケないよ」という否定的な反応が大半でした。

   人口の半数以上を占める出稼ぎ労働者には、カタールに対する愛国心はほとんど無いようで、こんな国で「世紀の祭典」を開催して本当に大丈夫なのかと、正直心配です。

クレジットカードも作れない「日本の個人事業主」

白装束のカタール人は国旗を持って応援
白装束のカタール人は国旗を持って応援

   ところで先日、ドーハで一緒に食事をしたジャーナリストの方に突然、こんな質問をされました。

「アシシさん、お金のやり繰りって、どうしてるんですか?」
「株で一発ひと儲けとかしたんですか?」

   やはり僕の働き方は日本ではまだまだマイナーなので、そう思われてもしかたないでしょう。この質問に対する回答は「ノー」です。自分自身がしっかり働いて稼いだお金を用いて旅に出ています。

   僕は新卒で入社した外資系コンサルティング会社で6年間勤めた後、個人コンサルタントとして独立して今年で5年目になります。

   個人事業主として働く人のことを、英語でインディペンデント・コントラクター(Independent Contractor、略してIC)というのですが、このようなワークスタイルは欧米の諸外国ではかなり普及しています。

   会社には所属しないけれど、かといって起業して社長になるわけでもなく、自分が好きな時に企業と契約して一定期間働くやり方は、終身雇用・年功序列の仕組みが長年に渡り企業文化として根付いていた日本社会では、まだまだ受け入れられるものではありません。

   例えば日本に帰って働くとき、安定した収入を証明できない僕の場合、部屋を借りるのにもひと苦労。クレジットカードも、新規で作ることができません。

   近年、相次ぐ企業の倒産を経て、社会のあり方も変わりつつありますが、日本における与信の考え方は、いまだに「信頼できる企業に属していること」が前提となっています。僕のような個人事業主には、まだまだ生きづらい世の中です。

サウジアラビア戦もスタンドで応援します

アラビア語で書かれた「コカコーラ」
アラビア語で書かれた「コカコーラ」

   また、サラリーマンをやっている友人から「独立すると会社での人間関係とか、上司との付き合いなどに気をつかわなくていいから楽でしょ?」と聞かれることもあります。

   確かにそういう面もありますが、逆に上司から叱られたりとか、部下を教育したりするとか、そういう機会や関係がなくなることは、実は寂しいことでもあるのです。

   自分がマーケットの中で通用できるよう成長できているのか、いまの力はどう評価されているのか、不安になることもあります。

   給与(単価)が上がる、自由な時間が増えるなど、ICとして働くことのメリットも数多くありますが、常に「孤独」との戦いとも言えます。

「いつか結婚相手でも見つかって所帯を持つことになったら、また既定のレール上に戻る選択肢もありかな」

なんて、おぼろげながら考えることも――。とはいえ、いまは旅の最中。そんな心配事は胸のうちにしまって、自由を謳歌したいと思います。

   アジアカップの日本の第2戦、シリア戦は「シリア狩り!尻上がり日本」という横断幕を掲げてスタンドから応援していました。テレビ中継に何度も映ったようなので、モニタ上で見つけた人もいるのではないでしょうか?

   来る1月17日のサウジアラビア戦以降も同様に、エッジの効いたメッセージをスタンドで掲げる予定です。サッカー日本代表の試合をテレビ観戦する方は、試合内容だけではなく、スタンドの模様もチェックしてみてください!

アシシ@ドーハ

(ツイッターやってます。 http://twitter.com/atsushi_libero

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サッカー日本代表が出場する国際大会に毎年参加するコアサポーター(写真左)。本名、村上敦伺(あつし)。1977年生まれ、札幌市出身。職業はフリーランスの経営コンサルタント。元同僚の四方健太郎(写真右)とともにサッカー南アW杯出場32か国を2年間かけて訪問し、『世界一蹴の旅』(双葉社刊)を上梓。「半年仕事・半年旅人」のライフスタイルを2006年から継続中。ツイッター @4JPN
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