テレビも酒もいらない 「若者の消費離れ」余計なお世話だ

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   最近、「若者の低消費」に関するニュースやコラムを目にすることが増えた。実際に消費が減っているのは事実なので別に異論も何もないが、分析内容を読むと、だいたい2パターンに分けられるようだ。面白いので、それぞれについてちょっと考察してみたい。

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牛丼値下がりしても2杯は食えない

・「草食化したから」説

   確かに、バブル期などと比べれば、金のかかる遊びはしなくなった気がする。これはバブルを学生という立場から見上げていた僕自身もそう思う。

   十万もする紺ブレ買ったりとか、テレビで特集組まれた有名店を予約してみたりとか、そういう空気は確かに残っていた気もするが、そのうち綺麗さっぱりなくなった。だから、

「最近の若いもんが消費してくれない」

と広告屋が嘆いているのを見ても、へえ最近の人もそうなんだくらいにしか思わない。

   ただ、じゃあそういう欲が消失したのかと言えばそうでもなくて、現状で十分満足できている。

   要するに、食事にせよショッピングにせよ、ITやグローバル化の恩恵でもっとお手軽に満足できてしまう便利な世の中になったので、結果的に消費額が減ったということだと思われる。

   昔、定食屋で760円のランチを食べていた人が、今380円の牛丼大盛りを2杯食べるかというと、普通は一杯で満足するだろう。


・金がないから消費しない説
「ホントはもっと消費したいのに、金がないからできない」

というような人は、確かにいるとは思う。ただ、金があったからといって、一昔前みたいにイタリア製のスーツ着てフレンチでデートして外車乗り回すような人が多いかというと、それもちょっとイメージできない。

年収1500万円でも「クルマ持ってない」

   ちなみに、知り合いで年収1500万円前後のそこそこ稼いでいるビジネスマンたちは、食い物も遊びも「いたって普通」である。

   36歳大手メーカーの課長なんて、同期500人の出世頭だそうだが、いまだに独身で賃貸マンションに住んでいる。贅沢といえば次世代ゲーム機を3台揃えて、サラウンドシステムまで設置しているくらい。

   別の金融マンは、部屋にテレビすらなく、酒も飲まない。そして、そういう人たちは全員、クルマを持っていない。

   やっぱり、そういう人たちもそういう人たちなりに満足する方法を見つけていて、そして多くの場合、そういう個人の満足にはあまりお金がかからなくなったということだろう。色々とお手軽に選べる時代なわけだから、やはり今は恵まれた時代なのかもしれない。

「俺の若いころは、もっと派手に遊んで~」

なんて人がいたら、「じゃあ、それで何が残ったんですか?」と聞いてみて欲しい。個人の嗜好なんて、その時の本人が楽しけりゃなんでもいいのだ。

城 繁幸

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いちばん実感する「若者の○○離れ」は?
テレビ離れ
クルマ離れ
腕時計離れ
酒離れ
恋愛離れ
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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