中国に留学後、日本の証券会社などを経て、日本の金融機関に中国の金融経済ニュースを配信する会社を立ち上げた小澤裕美氏。スタッフとして雇った中国人との日々のドタバタの様子が、『爆笑!エリート中国人』に描かれている。
コピーは「大卒の仕事ではない」と激怒
――あるとき、中国人の女性にコピーを頼んだら、
「コピー? とんでもない。私は大学を出てるのよ。こんなことをするために大学を出たんじゃない!」
と猛烈に抗議されました。あまりの怒りように、「え、何? どうしたの?」と、私のほうがタジタジとなる始末。上司だからと遠慮する様子もありません。
コピーとりですらこうですから、お茶出しなんて、もってのほか。雑用など、大学を出たエリートの仕事ではないと思っているのです。
日本では、電話とりやコピーとりも仕事のうちと考えて、新入社員は段階を踏んで少しずつビジネスのノウハウを覚えていきます。大学でどれほど専門的な勉強をしていても、最初からむずかしい案件を任されることはありません。先輩や上司から手ほどきを受け、少しずつ仕事を覚えていきます。また、いろいろな仕事を経験させ、オールマイティなゼネラリストを育てようという企業風土もあります。
ところが、中国では、大学で学んだことが仕事に直結しています。金融の勉強をした人は金融機関に入り、即戦力として働き始めます。
そういうお国柄ですから、新入社員でも自分の専門性を活かしたいという欲求が強く、最初からむずかしい仕事をしたがります。
・・・ただ、自分の仕事に関係することなら、コピーとりもやります。要するに、自分の仕事に直結しないことはやらないのです――
(小澤裕美著『爆笑!エリート中国人』幻冬舎新書、16~17頁より)
(会社ウォッチ編集部のひとこと)
中国人のモチベーションを上げるもの、それは「アメとムチ」の「アメ」であり、目の前にぶら下がるニンジンだそうだ。厳しいことを言ってハッパをかける「ムチ」は、中国人にはあまり効果がないばかりか、反発されるのがオチとか。どこか、最近の日本の若者にも似ているような気がする。