NTTコミュニケーションズは、パソコンのキーボードで入力する際のクセで本人確認を可能にするソフトを開発した。パソコン利用中の「なりすまし」や「すり替わり」を発見できる。2010年度中の商用化を目指す。
実証実験「ほぼ100%見分けた」
サービスの名称は「キータッチパス」(商標出願中)。利用者は事前に1000文字程度のキー入力を行い、キーを押してから離すまでの時間や、次のキーを押すまでのタイミングやリズムなどの個人特性を登録するだけ。あとは、システムが150字程度ごとに、本人の打ち方との共通度を判定する。
たとえば大学がeラーニングの遠隔教育で利用する場合、学生のパソコンにソフトをインストールするだけで、データが自動的に認証サーバに送信され、受講中の本人確認が継続的に行われる。大学には「認証結果レポート」が送付される。
実証実験の結果、このしくみによって操作しているのが本人かどうか、ほぼ100%見分けることが可能だったという。指紋認証リーダーやウェブカメラなどの周辺機器が不要で、運用中のシステムにも手を加える必要がない。
この技術に対して、ネット上には「入力ってそんなに個人差あるのか」「面白い技術だ」と驚きの声が上がるとともに、
「体調不良とかでリズム変わったりしない?」
「日本語の文章とプログラミング時で違ったりしないか」
という疑問のコメントも上がっている。
体調による「ゆらぎ」にも対応
体調などによってキータッチに生じる「ゆらぎ」への対応について、同社金融イノベーションシステム部の担当者は、システム側で吸収可能と想定しているとした上で、
「初期の登録時点で複数の利用シーンが分かっている場合には、あらかじめ入力しておけば精度が増すだろう」
と答えている。
この技術は、遠隔教育のほか、在宅コールセンターやオンラインゲーム、インターネットバンキングなどにおける本人確認にも応用できると考えられる。
ただし、現時点では150字程度の入力で判定を行っており、数ケタのパスワードのキータッチだけで判定することはできない。同社担当者は、
「従来のID認証などの代替ではなく、それらと併用しつつ継続的に本人確認をする場面で利用してもらうことを想定している」
と話している。