日本の企業で英語を共通語にしようという動きについて、議論が沸き起こっているようですね。外資系企業で普段から英語を普通に使っている人間にとっては、日本の大手企業が日本語だけで業務を行っていることのほうが不思議に思えます。
日本のサービス業は国際競争力が低い
日本市場は世界の1割未満のシェアしかないのですから、海外でのビジネスが勝負。日本の大企業の中には、生産、売り上げ、利益、従業員、株主などについて、海外の比率が高い会社が多くあります。
こういう会社の公用語が英語であるべきなのは、当然ではないでしょうか。
それでもメーカーの場合は、とにかく良いものを作ることが使命なので、言語がよく通じなくても何とかやってこられたのかもしれません。
しかし、金融、マスコミ、流通などといったサービス業は、コミュニケーションが勝負。日本のサービス業は閉鎖的で国際的競争力がないとよく言われますが、英語も通じないような会社が世界的な存在になれないのも当然でしょう。
日本の企業はそれでなくても、世界の主要マーケットから地理的に離れているというハンディを背負っています。それに加えて言葉のハンディもあるようだと国際的なビジネス展開は非常に厳しいでしょう。
世界市場をねらう楽天にしても、「日本語命」の会社のままであったら、何十年たってもローカル企業から脱皮できないと思いますよ。
世界中の優秀な人材を集められる
金融の世界について言うと、「世界の共通言語は英語」の一言に尽きます。およそ世界の大手といわれる金融機関のなかで、英語が共通語でないのは日本の金融機関だけです。
ドイツやフランスの金融機関の場合も、地元の支店などでローカル言語を使っているのは当然であるものの、幹部職員は私の知る限り、ほぼ全員が(上手い下手はありますが)英語を使います。アメリカ人やインド人などが重要なポストを得ることも多く、英語を避けては通れないのです。
見方を変えると、英語が共通語になれば、会社は世界中から優秀な人材を集めることができるというわけです。また、個人の側からすると、英語ができれば世界中の金融機関で仕事ができるということになります。
外資系企業は、日本国内で英語を社内共通語にしています。そして英語の公用語化には何の問題もないことを、外資系に勤める人間の全員が知っています。
「英語ばかり上手で仕事ができない人が得をする」ですって? そんなことあるはずないじゃないですか。そんな馬鹿な人事をする経営者がいたら、その会社はすぐつぶれますよ。
実際のところ、外資系企業にも英語が苦手な人が結構いますが、それが問題になることはありません。企業の業績に貢献すればよい、それだけです。
サービス業で世界の一流になろうと思ったら、英語を避けては通れません。英語は要らないという人は、「世界で一流にならなくてもよい」と言っているのと結果的に同じだと思います。
益村誠一郎