岐阜県輪之内町に本社を置く電気設備資材メーカーの未来工業は2010年8月4日、社員旅行で出題されるクイズに全問正解した社員に「1年間の有給休暇」を与えると発表した。旅行先はエジプト。グループ企業の社員を含む500人以上が参加し、旅費はすべて会社が負担するという。
50問を社員旅行中に出題
社員旅行は5年に1度実施し、今回は創立45周年記念イベントを兼ねる。旅行中の企画は若手社員で構成する実行委員会が立案し、会社が了承した。
同社はもともと、休みの多さで知られる。ゴールデンウィークやお盆は10連休、年末年始は20連休が恒例だ。年間休日は有給休暇を含め180日。5日間の旅行期間と、全問正解の「特別有給休暇」180日を合計すると365日となる計算だ。
創業者の山田昭男相談役(75)は、「ゆとりがなければアイデアは生まれない」「限られた時間の方が生産性は上がる」という考えの持ち主。
「ゆっくり休めば仕事も頑張れる。満点の人が多く出てしまったら、社員同士でカバーするとか、そのときに考えよう」
と話しているという。なお、同社の従業員は全員が正社員であり、「派遣社員やパートタイマー、アルバイトで一時的にカバーすることはない」ということだ。
1年間まるまる働かなくても、毎月の給料がもらえるのはうらやましい限りだが、このニュースに対するネット上の反応はなぜか鈍い。
「自分がいなくても仕事が回ってたら、帰ってきても居場所ないよね」
「あまり休むと仕事についていけなくなるおそれもあるし」
「実際休ませてもらえるのは、せいぜい1~2週間じゃない?」
この点について実行委員長の石井隆之さんは、同社では休暇を取ることへのプレッシャーはないので、問題はないだろうという。
「50問出題するクイズの難易度は実行委員会で調整しますが、全問正解者が出た場合には特別有給休暇をきちんと付与するよう会社と約束しています。実際に休みを1年間取る人が出るかもしれません」