私たちは職場で、当たり前のように「本名」を名乗って仕事をしている。しかし、本名でなければならない理由が明確になっているわけでもない。もし仕事用の名前が許されるならば、使ってみたい人は意外と多いのではないか。
「個人情報が守れる」「本名を隠す人は信用できない」
情報サイト「わたしみがき」が働く女性を対象に実施した意識調査によると、職場で「ワーキングネーム」を使用することについて、回答者の88.6%が「ありだと思う」と支持している。ワーキングネームとは、職場で名乗る姓を意味する和製英語で、おもに結婚後も職場で旧姓を使うことを指すという。
「ワーキングネーム」の支持率を年代別に見ると、30代がもっとも高く93%。20代は87%で、40代は84%だった。働き盛りの30代では「仕事上の名前」で働きたい気持ちが高まるが、40代ではこだわりが少なくなるのだろうか。
レンタルのニッケンには「ビジネスネーム」という制度があり、仕事用の名前を作って社内外で使用しているという。プロ意識を高め、公私の区別を明確にして仕事をすることがねらい。「望 叶太郎」「新風竜太郎」などの名前で、名刺交換の際にインパクトを与える効果もあるらしい。
Q&Aサイトの「Yahoo!知恵袋」にも、タレントが芸名を使うように、会社員も「ビジネスネーム」を使っていいのでは、という相談があった。本名を明かすと消費者とトラブルになったとき、ネットに個人情報などを貼られて誹謗中傷され取り返しがつかないことになるおそれがある、という考えだ。
この相談には「姓名占いなどにより開運の画数にするため、本名の文字を少し変えている人がいる」と情報を提供する人がいた。その一方で、
「私だったら、本名を隠して営業する会社の言うことは絶対に信用しません」
と言う人も。ビジネスネームの使用は合理的な面もあるが、相手によっては簡単にいかないこともあるようだ。