「運動をすると気分がスッキリする」という経験を味わったことある人は多いでしょう。身近に運動をしている人がいるかもしれません。今回は、運動がどんな効果をもたらすのか、どんな運動がストレス解消に効果的なのかについてお話しします。
ストレスを分解し脳内麻薬を分泌
ストレス解消に効果のある運動とは、「有酸素運動」という種類のものです。身体が必要とする酸素を、通常の呼吸で取り込める程度の負荷をかける運動を指します。言い換えれば、「長時間続けられる運動」「おしゃべりしながらでもできる運動」ということで、ハイキングやジョギング、サイクリング、水泳などがこれに当たります。
一方、「無酸素運動」とは、運動をするときに身体が必要とする酸素を、通常の呼吸では取り込めないほど負荷がかかる運動を指します。「長時間続けられない運動」「終わった時に激しく息が上がってしまう運動」を指し、ウエイトトレーニングや全力疾走などがこれに当たります。
ストレスを有酸素運動が解消する効果は、次の3つの働きから得られるとされています。同じ運動でも無酸素運動には、このような効果があまり期待できません。
1.ストレスホルモンの分解
私たちがストレスを感じる時、体の中ではコルチゾールというストレスホルモンが分泌されています。コルチゾールが体内に多くあり過ぎると、心だけではなく、高血圧や免疫力低下など身体にも影響を及ぼします。有酸素運動をするとコルチゾールの分解が促され、体内のストレスホルモンを減らすことができます。
2.脳内麻薬の分泌有酸素運動の多くは繰り返し動作を伴います。これを続けると「脳内麻薬」とも呼ばれるエンドルフィンという物質が分泌され、快感をもたらします。長時間走っていると気持ちが良くなる「ランナーズ・ハイ」には、エンドルフィンが関連しているという説もあります。さらに運動を続けると、ドーパミンやセロトニンなど、気分を良くするその他の物質も分泌されます。
運動後はリラックスした気分に
3.副交感神経の活性化人間は活動をしている時には「交感神経」が活発になり、リラックスしている時には「副交感神経」が活発になっています。有酸素運動の最中は交感神経が活発ですが、終了後は他の運動と比べて副交感神経が活発になりやすいため、心身ともにリラックスできます。副交感神経の働きでよく眠れるようにもなる点でも、ストレス解消の効果があります。
ただし、ストレス解消に効果のある有酸素運動でも、やり過ぎるとストレスを増やすことになります。疲れ果てるまで運動することは避け、「ああ、気持ちいいな」と感じる程度の運動にとどめることも重要です。
とはいえ、いざ「有酸素運動をしよう」と思っても、早起きしてジョギングしたり、スポーツジムに通ったりするなど、運動するためだけの時間を確保するのが難しい方も多いと思います。次回は、日常生活の中に運動を取り入れるコツを紹介します。