年齢によって体型が変わるのは、仕方のないことだ。でも、できれば変化を小さくしたい。そう思う女性は多いだろう。45年にわたって約4万人の女性の人体計測を行ってきたワコール人間科学研究所によると、若いころの体型を維持している人には、ある共通点があったという。
背筋を伸ばした姿勢は体型の変化を遅らせる
そもそも「年齢による体型の変化」とは、どのようなものなのか。ワコール人間科学研究所の篠崎彰大所長によれば、変化する場所は、
「バストが下がる」「お腹が出る」「ヒップが下がる」「ウエストから骨盤にかけて脂肪がつく」「ウエストのくびれがなくなる」
の5点。変化は20代から始まり、いちど変わってしまうと元には戻らない。体型の大きな変化は30代後半に起こる人が多く、「カラダの曲がり角」は平均38歳。まさにアラフォーOLが直面している事態である。
ただし、30年間にわたって体型を追跡調査した100人のうち、4人に1人は50代になっても若いころの体型をある程度維持できていたという。共通点は「体力があること」と「健康であること」だ。
彼女たちは、この2つを保つために何をしていたのか。1つめのポイントは「運動」だという。体型を維持していた人には、定期的にジムでトレーニングをしたり、普段から歩き方に注意する人が多かった。
「運動をして筋力をつけると、体脂肪が減ります。また、持久力もついて疲れにくくなりますし、ストレスが解消されて夜もぐっすり眠れるようになります」
運動と関連して、よい姿勢を維持することは体型の崩れを遅らせる効果もある。働く女性は、デスクワークで猫背になりがち。背筋を伸ばして座ったり、姿勢を意識して歩いたりすることを心がけたい。
2つ目のポイントは、毎日の「食事」だ。
「体型を維持していた人は、食べすぎや飲みすぎをせず、バランスのよい規則正しい食事を心がけている人が多かった。食事の時間が不規則だったり、偏った食生活を送っていたりすると、体脂肪の増加を招きます」
甘いものやお酒で気分転換という人には、耳の痛い指摘だ。脂肪のつきにくい身体をつくるには、「運動」と「食事」のコントロールを両輪とした、よい生活習慣をつくることが必要ということだろう。
バストの維持には身体に合った下着が不可欠
3つ目のポイントは「下着」である。体型変化のうちバストだけは、運動と食事だけでは変化を止めることが難しい。ヒップやウエストは筋肉だが、バストには筋肉がないので運動によってカバーすることができないのだ。
「バストを形よくキープするためには、自分の身体に合った下着の助けがどうしても必要です。加齢による変化をうまく補正してくれるブラジャーを着用していた人が、体型の変化が小さくて済んでいます」
逆に体型が変化してしまった人は、下着が小さすぎたり大きすぎたり、古いものを着古していた人が多かった。ラクを優先させてしまった意識面の影響もあるのかもしれない。
加齢によってバストは、サイズだけでなく形や柔らかさも変化する。同じ「B75」のブラジャーでも、20代向けと40代向けでは機能が異なる。大きな「身体の曲がり角」は平均38歳。しかし現実には、年齢に応じた下着選びをする人は少ない。
東京と大阪在住の20代から50代の女性200人を対象にした調査では、いつもバストの採寸をしてブラジャーを買う人は、わずかに14%。採寸の結果、「自分のブラジャーサイズは正しくなかった」「サイズを勘違いしていた」という人は71%にも上ったという。
年齢を重ねることを悲観したり、無理に若作りすることは美しくない。しかし、たとえば年相応の下着を買い換えるときに、採寸と試着を面倒がらずにすることで体型の変化を遅らせることができるなら、試してみる価値はあるだろう。