先日、外国人労働者にケータイ事情を訊く機会がありました。
不法滞在、不法就労を含め、全員とは言わないまでも、ほとんどの外国人労働者がケータイを所持しているそうです。
「お客さんと連絡取るにも必要だから」
「ちゃんとした外国人は、外国人登録証などの身分証明書を持って、ケータイ会社の窓口へ行けば、だいたい問題なくケータイを持てます。支払いは、クレジットカードか、表立って会社に勤めている人であれば銀行の口座番号とハンコで大丈夫。口座の開設は、サインで構わないという銀行もありますよ」
そう話すのは、アジア系のAさん。
でも、不法滞在の人だと、なかなか厳しい事情があるようです。
「特に風俗系の仕事の人は、管理する意味からもケータイを持たされる。料金は、もちろん借りている人が払います。貸してくれる人は、日本人、中国人、韓国人、いろいろです。同胞が割安で貸してくれることもあれば、特別な割引サービスを使ったり、又貸しなどで本当はタダなのに、月額いくらと取るケースもあります」
いずれにせよアングラの仕切りであり、立場の弱い不法滞在者は、不利とわかっていても借りざるを得ないのだとか。
郷里への電話はケータイを使わずに公衆電話を使うのも、料金をいくら取られるかわからないから、ということが多いそうです。
「でも、ケータイはビジネスに必要でしょ。お客さんと連絡を取るし、友達と連絡を取るのにも必要だから」
一昨年の2008年春には、大規模な外国人登録証明書偽造団が、東京で摘発されました。
不法滞在をごまかす以外にも、ケータイの取得に偽造証明書は使われているに違いありません。
利便性という光が当たれば当たるほど、違法な使用という影も濃くなるのでしょう。
井上トシユキ