<ビジネス敬語3>個人的な理由で有給休暇を取りたいときは?

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   働く人に年次有給休暇を与えることは、法律に定められた使用者の義務です。だからといって、周りの人たちへの気づかいもなしに、休んで当然のような態度でいると、休みの間に気持ちよくフォローをしてもらえなくなります。

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周囲の人を気づかい、場に合わせた言葉選びを

   洋子さんは、仲のよい学生時代の友人と、飛び石連休の時期に長期間の旅行に行くことになりました。しかし、そのためには休日に挟まれた平日に有給休暇を取らなければなりません。このような場合、どのように切り出せば上司からの印象を悪くせずにすむのでしょうか。

A.大変申し訳ありませんが、今度の金曜日にお休みをいただいてもよろしいでしょうか?
B.ご相談したいことがあるのですが・・・。今度の金曜日、旅行に行きたいのですが。
C.今度の金曜日に有給を取らせていただきたいです。

   分かりましたか? 答えはAです。有給休暇は労働基準法で「使用者は・・・与えなければならない」とされていますが、休んで当然という態度は控えたいもの。休むことにより何らかの迷惑をかけて申し訳ない、という気持ちを表すことが大切です。


ポイント1:「お詫び」の法則

   周囲の人を気づかい、場に合わせた言葉選びをしましょう。有給休暇は与えられた権利とはいえ、休むことで職場の他の人に何らかの負担をかけることになるかもしれません。そうしたことをふまえ、最初にお詫びの気持ちを表しましょう。そうすれば上司も、あなたの要望を快く聞き入れやすくなるはずです。

ポイント2:「クッション語」の法則

   速やかにムダのない言葉で申し出ましょう。仕事に差支えがなくても「お休みをいただきます」ではなく、「お休みをいただいてもよろしいでしょうか?」と伺いを立てるのが社会人のマナー。また、Cのように「有給」という言葉を使うと、権利を主張しているようにも受け取られますので、「お休み」という言葉で十分です。

   なお、いつ休暇を取りたいと明確に決まっていることなので、Bのような「ご相談したいことがあるのですが」というフレーズは意味がありません。

休みたいと「思っている」は不要な文言

   次のような言い回しは、ありがちですが、ビジネスマナーとしてはNGです。


NG1:「今度の金曜日は有給取らさせていただきます」

   「取らせて」という言い回しが正しい日本語です。「取ら“させ”ていただきます」は、「取らせて」の「せ」を、さらに「させ」と謙譲語の活用にしており過剰です。また、上司に対して言い切ってしまうのは不適切です。

NG2:「今度の金曜日は旅行に行きたいのでお休みします」

   Bの言い回しにもありましたが、個人的な休みの理由を最初から述べる必要はありません。「お休みします」という言い切りもNGです。

NG3:「今度の金曜日は休みたいと思っているのですけれども、いいですか?」

   「休みたいと思っている」の「思っている」は、あいまいなニュアンスを残す言葉で、ありがちですが不要な文言です。「~けれども」「いいですか」もNGで、「お休みをいただきたいのですが、よろしいでしょうか?」であればよいでしょう。


   なお、有給休暇を取得するためには、理由の説明は必要ありませんし、上司の承認も必要なく届出のみで済みます。しかし、「どこか旅行にでも行くの?」と尋ねられたときに、法律を盾に「そんなこと関係ないじゃないですか」と突っぱねれば、けんか腰になってしまいます。差し支えない範囲で話題にするのも、社交の範囲でしょう。

西出博子

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西出ひろ子(にしで・ひろこ)
マナーコミュニケーションコンサルタント。英国法人WitH Ltd.役員および同社日本支社代表。株式会社ウイズ代表取締役。国会議員秘書、英国留学などを経て、独自のマナースタイルを確立。09年12月よりauとSoftBankでケータイ公式サイト「携帯ビジネスマナー」を、10年2月よりNTTドコモでビジネスマナー連続ドラマ「アベクン」をスタート。『完全ビジネスマナー』(河出書房新社)など著書多数。

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