お昼どきのオフィス街に、弁当の移動販売車がズラリと並んでいる光景を目にしたことはないだろうか。そんな大流行の「路上弁当」に周辺飲食店がクレームを入れた、という記事に対し、毎日のランチ時に利用しているビジネスパーソンたちが、ネット上で「それはおかしい」と声を上げている。
「いま日本に必要なのは路上弁当のような『商魂』」
J-CASTニュースで「オフィス街『路上弁当』規制強化 周辺飲食店が安売りに『待った』」という記事を公開したのは、2009年12月13日の午後6時。この約2時間後に、上武大学大学院教授の池田信夫氏が、ツイッターでこの記事のリンクを含む投稿コメント(ツイート)を流した。さらに午後9時ころにも、
「いま日本に必要なのは、アントレプレナーシップとかイノベーションとか格好いいものではなく、路上弁当のような『商魂』だと思う」
と、路上弁当への規制に反論するツイートを流し、記事へのアクセスが増加した。
これを受けて、はてなブックマークには、翌14日の午後6時までに300以上のブックマークが付いた。寄せられているコメントには、
「道路使用許可も土地使用許可も得ないで、ボロ儲けしようとしてる弁当売りが悪い。立地のいい場所で商売したければ相応の地代を払うべき」
「こういう消費者礼賛ばかりやってるからみんな貧乏になるんだと思うけど」
という意見もあるが、圧倒的に多いのは、利用者の視点から路上弁当の進出を歓迎する声だ。
コメントの中身を見ると「安いほうがいいよ」という声もあるが、多くの支持を集めているのは「安いからじゃなくて昼飯時は食堂が混んでるから」、コンビニや路上弁当で購入しているという意見だ。
「オフィス街なら少々早め(11時頃)に出るか遅め(午後2時頃)にでないと、そもそも店に入れないという事情を知らないとしか思えないが・・・」
こんな状態で路上弁当の規制を強化したら、利用者からは「何を守るための規制なんだろ・・・」とブーイングが起こるだろう。
移動販売車が日替わりで集まる「ネオ屋台村」
何百人、何千人が働く都心のオフィス街が、一斉に昼休みを設定するナンセンスを指摘する声もあった。
「みんなで同じ時間に同じ事をする非効率、そもそも時間が短い」
「サラリーマンは昼休みの時間を自由に設定できてしかるべし」
また、路上弁当に比べて、レストランなどの店舗が「価格に見合った価値」を提供できていないという声も支持を集めた。
「(1)+150円程度でサイドメニュー一品ついて(2)並ばず入れて(3)注文してからの待ち時間が短い、ていう要件満たさないと規制してもこの客層は戻ってこないと思う」
「むしろ店舗持ちの方が食品の安心感はあるんだからテイクアウトやって欲しい」
利用者にとっての一番の不満は、路上弁当の指導強化を行政に求めているのが「利用者ではなく近隣の飲食店」という点のようだ。
また、「この手の弁当屋を数軒束ねて売り場貸ししているビルを見るけれど、そのへんが落しどころなのかなー」というコメントもあった。そこで情報を基に編集部で足を運んだところ、東京・麹町の「31MTビル」前の広場に「ネオ屋台村」というのぼりが立っており、弁当の移動販売車が3台止まっているのを見つけた。
居合わせた30代の男性会社員に話を聞いたところ、月曜日から金曜日まで、お昼時に日替わりで3~4台の移動販売車が来ているとのこと。カレーやモツ煮丼、エスニック料理などを販売しており、晴れた日には20席ほどのベンチがいっぱいになるという。場所は高級ブランド、ブルガリの東京本社ビル前。
「移動販売のメニューは値段だけでなく、量も手ごろ。気分転換にもなるので、同僚とよく外で食べていますよ」